2009年 10月 03日
【Wake Up Sid】 |
監督:アーヤン・ムカージー Ayan Mukerji. 今回が初監督です。出演:ランビール・カプール、コーンコーナー・セーン・シャルマー、アヌパム・ケール。特別出演でラーフル・カンナー。

トレイラー
ストーリー
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シッドことシッダールタ・メーラ(ランビール・カプール)は呑気に怠惰な日々を送る卒業を前にした大学生。人生に目標を持たず、大会社の社長である父(アヌパム・ケール)の金で面白おかしく暮らしてきた。そのため卒業試験の勉強にも身が入らず、結局準備不足のまま試験に臨むことに。卒業後のことはなにも考えていなかったが、父との協定で1ヶ月父の会社で働いたら高級外車をやると言われ、働き始めるが一週間で挫折。
そんなシッドは試験後の打ち上げパーティでアイーシャ(コンコナ・セーン・シャルマ)と出会う。アイーシャは独立した生活をしたくてコルカタからムンバイに来たばかり。ライターになるためにある雑誌社の面接を受けるという。シッドはしっかりしたアイーシャに魅力を感じるが、アイーシャにとってシッドはまだまだ子供、恋愛の対象外だと言われてしまう。
そして、試験結果の発表日。案の定、シッドは落第。落第で父と言い争いになったシッドは、家を飛び出し、雑誌社で働き始めたばかりのアイーシャの家に転がり込む。二人の共同生活が始まるが・・・。
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なにか劇的な事件が起きるわけでも、特殊な力を持つ人物が出てくるわけでもない、とてもシンプルなストーリーですが、主人公のカップル2人のキャラクターがとても良く描かれた作品でした。作品中最大の事件がシッドの落第と家出(?)で、これで最後まで見させるのですから、優れた作品といえるでしょう。すごい傑作というのではありませんが、アベレージ以上の佳作といえるでしょう。
テレビゲームにインターネットにうつつを抜かし、友人たちと飲み歩いては日々を過ごすシッドのキャラクターは、インド映画では新しいものです。【Devdas】のような不定形な不安を持つのでもなく、ランビールの父リシ・カプールがよくやったような中産階級インテリの不遇を身にまとった青年役とまたも違う、とても現代的な若者像でした。もう1人、コンコナ・セーン・シャルマが演じるアイーシャも、「家」を離れて自立を求める現代インドの女性像を写し出しています。ムンバイで1人暮らし(結局2人になりますが)をしながら、キャリアを目指すアイーシャもまた、この作品の核になっています。
いっぽう、主人公の2人に重点を置きすぎたせいか、シッドとアヌパム・ケール演ずる父との関係の描かれ方がややおろそかになったという感じがします。逆に、シッドと落第をきっかけに疎遠なった友人リシとの関係は時間的には短いながら、ユニークな形でうまく描かれていたと思います。
この映画の大きな長所となっているのが、音楽です。エシャーン、シャンカル、ローイの軽快な曲がシッドやアイーシャのキャラクターとよくマッチしており、映画音楽として非常に良いものになっています。ただし、エンディング・ロールの曲を除いて踊りはありません。
俳優の演技も良いですが、そういう俳優をうまく当てはめたキャスティングの成功が大きいです。
ランビール・カプール (大人になりきれないシッド役)

当たり役だと思いました。「大学時代、何をしてきた?」ときかれ、「親の金を費やすのに過ごしてきた」と答えてしまうような役、一歩間違えればとんでもない憎まれ役になりそうですが(一瞬は思いましたが)、そうならないところはランビールだからでしょう。部屋を散らかし放題とか、他に似合う俳優さんは少ないのではないでしょうか。しかし、ネクスト・ジェネレーションの俳優のなかでは、必ずしも若い顔とはいえないランビール・カプール。大学生をやるとさすがに「若作り」感はあります。ただ、「若作り」はボリウッドのお決まりということで。
コーンコーナー・セーン・シャルマー (現実的で堅実なアイーシャ役)

やはり上手い女優さんです。それにしても、【Luck By Chance】での女優役よりも、こちらの普通の女性役のほうが光っているのはなぜでしょう?【Wake Up Sid】では、ランビールが天然の演技ならば、コンコナは時々の感情の変化をきちんと演じ出しています。【Wake Up Sid】のストーリーは彼女が進行させている感じでした。
アヌパム・ケール (苦労して今の会社を築き上げたシッドの父、ラーム・メーラ役)
上にも書いたように、シッドと父の関係が描ききれていないため、アヌパム・ケールの役もちょっと物足りませんでした。いつものアヌパムではあるのですが。
カシュミラー・シャー (アイーシャのお隣さん、ソニア役)
(写真はこの映画のものではありません)

90年代終わりから、2000年代前半のセクシー&アイテム女優です。最近全然見かけませんでしたが、いきなりの登場。お隣のセクシーなお姉さんという役でした。
ラーフル・カンナー (雑誌の編集長で、アイーシャのボス、カビール役)
インテリで、仕事ができて、ちょっと見カッコいいけれど、実は人間味に薄く、という役。最近こういう役が多いです。アイーシャをジャズのコンサートに誘い、本当は古いインド映画音楽が好きなアイーシャの好みをちょっとバカにした感じで扱います。スノッブな感じは良くでていました。ゲスト出演なので、そんなところで十分でしょう。ところで、アイーシャの部屋にはマドゥバラの写真が貼ってありました。これで古いインド映画音楽をかけている、こっちのほうが実際どれだけ素敵でしょう。
【Wake Up Sid】
ランビール・カプールが好きだという人、ランビールが好きではなくともしっかりしたドラマなら見てみたいという人、コンコナのファン、インドの女性1人暮らしがどんなだか見てみたい人、お勧めです。



トレイラー
ストーリー
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シッドことシッダールタ・メーラ(ランビール・カプール)は呑気に怠惰な日々を送る卒業を前にした大学生。人生に目標を持たず、大会社の社長である父(アヌパム・ケール)の金で面白おかしく暮らしてきた。そのため卒業試験の勉強にも身が入らず、結局準備不足のまま試験に臨むことに。卒業後のことはなにも考えていなかったが、父との協定で1ヶ月父の会社で働いたら高級外車をやると言われ、働き始めるが一週間で挫折。
そんなシッドは試験後の打ち上げパーティでアイーシャ(コンコナ・セーン・シャルマ)と出会う。アイーシャは独立した生活をしたくてコルカタからムンバイに来たばかり。ライターになるためにある雑誌社の面接を受けるという。シッドはしっかりしたアイーシャに魅力を感じるが、アイーシャにとってシッドはまだまだ子供、恋愛の対象外だと言われてしまう。
そして、試験結果の発表日。案の定、シッドは落第。落第で父と言い争いになったシッドは、家を飛び出し、雑誌社で働き始めたばかりのアイーシャの家に転がり込む。二人の共同生活が始まるが・・・。
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なにか劇的な事件が起きるわけでも、特殊な力を持つ人物が出てくるわけでもない、とてもシンプルなストーリーですが、主人公のカップル2人のキャラクターがとても良く描かれた作品でした。作品中最大の事件がシッドの落第と家出(?)で、これで最後まで見させるのですから、優れた作品といえるでしょう。すごい傑作というのではありませんが、アベレージ以上の佳作といえるでしょう。
テレビゲームにインターネットにうつつを抜かし、友人たちと飲み歩いては日々を過ごすシッドのキャラクターは、インド映画では新しいものです。【Devdas】のような不定形な不安を持つのでもなく、ランビールの父リシ・カプールがよくやったような中産階級インテリの不遇を身にまとった青年役とまたも違う、とても現代的な若者像でした。もう1人、コンコナ・セーン・シャルマが演じるアイーシャも、「家」を離れて自立を求める現代インドの女性像を写し出しています。ムンバイで1人暮らし(結局2人になりますが)をしながら、キャリアを目指すアイーシャもまた、この作品の核になっています。
いっぽう、主人公の2人に重点を置きすぎたせいか、シッドとアヌパム・ケール演ずる父との関係の描かれ方がややおろそかになったという感じがします。逆に、シッドと落第をきっかけに疎遠なった友人リシとの関係は時間的には短いながら、ユニークな形でうまく描かれていたと思います。
この映画の大きな長所となっているのが、音楽です。エシャーン、シャンカル、ローイの軽快な曲がシッドやアイーシャのキャラクターとよくマッチしており、映画音楽として非常に良いものになっています。ただし、エンディング・ロールの曲を除いて踊りはありません。
俳優の演技も良いですが、そういう俳優をうまく当てはめたキャスティングの成功が大きいです。
ランビール・カプール (大人になりきれないシッド役)

当たり役だと思いました。「大学時代、何をしてきた?」ときかれ、「親の金を費やすのに過ごしてきた」と答えてしまうような役、一歩間違えればとんでもない憎まれ役になりそうですが(一瞬は思いましたが)、そうならないところはランビールだからでしょう。部屋を散らかし放題とか、他に似合う俳優さんは少ないのではないでしょうか。しかし、ネクスト・ジェネレーションの俳優のなかでは、必ずしも若い顔とはいえないランビール・カプール。大学生をやるとさすがに「若作り」感はあります。ただ、「若作り」はボリウッドのお決まりということで。
コーンコーナー・セーン・シャルマー (現実的で堅実なアイーシャ役)

やはり上手い女優さんです。それにしても、【Luck By Chance】での女優役よりも、こちらの普通の女性役のほうが光っているのはなぜでしょう?【Wake Up Sid】では、ランビールが天然の演技ならば、コンコナは時々の感情の変化をきちんと演じ出しています。【Wake Up Sid】のストーリーは彼女が進行させている感じでした。
アヌパム・ケール (苦労して今の会社を築き上げたシッドの父、ラーム・メーラ役)
上にも書いたように、シッドと父の関係が描ききれていないため、アヌパム・ケールの役もちょっと物足りませんでした。いつものアヌパムではあるのですが。
カシュミラー・シャー (アイーシャのお隣さん、ソニア役)
(写真はこの映画のものではありません)

90年代終わりから、2000年代前半のセクシー&アイテム女優です。最近全然見かけませんでしたが、いきなりの登場。お隣のセクシーなお姉さんという役でした。
ラーフル・カンナー (雑誌の編集長で、アイーシャのボス、カビール役)
インテリで、仕事ができて、ちょっと見カッコいいけれど、実は人間味に薄く、という役。最近こういう役が多いです。アイーシャをジャズのコンサートに誘い、本当は古いインド映画音楽が好きなアイーシャの好みをちょっとバカにした感じで扱います。スノッブな感じは良くでていました。ゲスト出演なので、そんなところで十分でしょう。ところで、アイーシャの部屋にはマドゥバラの写真が貼ってありました。これで古いインド映画音楽をかけている、こっちのほうが実際どれだけ素敵でしょう。
【Wake Up Sid】
ランビール・カプールが好きだという人、ランビールが好きではなくともしっかりしたドラマなら見てみたいという人、コンコナのファン、インドの女性1人暮らしがどんなだか見てみたい人、お勧めです。



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by madanaibolly
| 2009-10-03 06:00
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