2014年 08月 26日
【Singham Returns】 |

監督:ローヒト・シェッティ Rohit Shetty 出演:アジャイ・デーヴガン、カリーナー・カプール・カーン、アモール・グプテー、アヌパム・ケール
トレイラー
ストーリー
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前作の事件のあと、ムンバイの政治も与党党首グルカント(アヌパム・ケール)と州首相ヴィクラム・アディカーリー(マヘーシュ・マンジュレカル)の組み合わせ一時の平静を保っていた。正義の警察官シンガム(アジャイ・デーヴガン)は通常の勤務をこなして過ごし、恋人アヴニ(カリーナー・カプール)との結婚話も出るなど比較的平穏な日々を送っていた。
だが、選挙が近づき、ライバル政党の政治家プラカーシュ・ラーオ(ザキール・フセイン)と宗教家のサティヤラージ(アモール・グプテー)が手を組んだことで、なにやら不穏な空気が漂い始める。
そんなとき、サティヤラージの本部の近くで、シンガムの部下の警察官の1人が多額の現金を積んだ車の中で死体で発見された。どう見ても不正資金の運搬に手を染めていたとしか思えない状況だ。だが、部下の無実を信じるシンガムは捜査に乗り出す。
捜査はシンガムをサティヤラージへと導き、やがてシンガムとサティヤラージの全面対決に発展していく。
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正義の警察官の活躍を描いた【Singham】(2011)の続編。前作はタミル映画【Singam】(2010)のリメイクですが、今作はそこから離れて独自の発展を遂げたようです。主演は前作に続きアジャイ・デーヴガン、ヒロインは前作のカージャル・アグラワールからカリーナー・カプールに代わっています。
監督は前作と同じローヒト・シェッティ。シェッティ監督でアジャイ、カリーナーといえば人気の【Golmaal】シリーズと同じ組み合わせ。ゴールデン・トリオによってシンガムが帰ってきました。
アジャイ・デーヴガン=正義の警察官シンガムというキャラクター設定はすでに前作の段階でほぼ完璧に確立されており、いまさらいじる必要はありません。いきなり本筋で構わないというシリーズものの強みです。
前作もタミルのオリジナルに比べて、アクション・シーンなどが派手に作ってあると思いましたが、今作はその前作をさらに上回る「ド」が付く派手さ。ローヒト・シェッティ監督の世界ではもともと車も人も空を飛ぶものですが、今作でも飛びまくっています。アクションでもっとも注目は、最近はムンバイの名所で映画にも頻繁に登場するバンドラ-ウォルリ・シー・リンク (Bandra-Worli Sea Link)の上での銃撃戦です。

ストーリーは前作に比べ、緻密になったところと大味になったところの両方があります。前作は基本的にシンガムと敵役(プラカーシュ・ラージ)の力比べでしたが、今回はシンガムの部下の謎の死という具体的な事件が軸になっています。
一方、前作のシンガムは敵と戦うと同時に、上層部からの圧力とも戦わなければならず、その微妙な立場が面白さになっていましたが、今作のシンガムはすでに出世して、知名度も高く、ある程度の後ろ盾もあるため、最後の最後を除いて自由に敵との戦いに望むことができました。その辺でストーリーが大味になったという気がします。また、アモール・グプテー演じる宗教家はヴィジュアル的にも、実力的にも敵として十分ですが、自分はいつも本部に座っているだけど、シンガムに仕掛けている派手な攻撃を具体的にどのようにやっているのかは描かれていません。
ヒロインについてはカリーナー・カプールの起用は成功だと思います。彼女の存在により、【Singham Returns】は無機質なアクションもの、ガチガチの警察ものとは違った作品になっています。またシンガムもただの正義漢でもスーパーマンでもない存在になります。もっとも、カリーナーはさすがの存在感で目立つので、話が横道にそれ過ぎではないかと思う人もいるかもしれません。
作品の基本であるシンガムの正義感と無敵の強さは揺るがず、敵もとことん悪であり、ストレートな勧善懲悪の作品です。
音楽
前作に続いてバックスコアで使われるシンガムのテーマやプロモ曲の「Aata Majhi Satakli」を除くと、作中で使われる曲で印象に残る曲がありません。【Singham Returns】の弱点でしょう。
「Kuchh Toh Hua Hai」
カリーナーの服をはじめ、全体におしゃれな曲
「Aata Majhi Satakli」
タイトルはマラーティー語で「頭来た!」みたいな意味の慣用句だそうです。前作でシンガムのせりふとして使われています。そういえば子供も怒ってます。
アジャイ・デーヴガン 正義の警察官シンガム役

シンガムはアジャイのはまり役。あまりにはまり過ぎていて、今後のアジャイの俳優業に影響しないかと心配になるほど。実際、「キレると何をするかわからない」みたいなキャラは【Gomaal 3】(2010)、【Bol Bachchan】(2012)、今回の【Singham Returns】と、ローヒト・シェッティ監督は固定しにかかっている感じも。でも、アジャイはコメディもシリアスもこなせる器用で職人的な俳優です。
アモール・グプテー 宗教家サティヤラージ役

宗教家のすごいヴィジュアルがはまっていましたが、別にすごい仮装をしたわけでもなく、素でやっているだけではないですか!【Stanley Ka Dabba】(2011)(『スタンリーのお弁当箱』)のヘンな先生役といい、怪人物をやらせるとこのうえなく似合います。今回の役は表向きは宗教家ですが、自宅ではアメリカンなTシャツを着て、酒を飲んでいたりとなかなかの悪党ぶり。
カリーナー・カプール アヴニ役

シンガムの恋人で、立ち位置として「ただのヒロイン」なのですが、カリーナーがやると「ただのヒロイン」では終わりません。あるきっかけで「レディー・シンガム」と呼ばれたら大喜びでファンと一緒に写真に写ったり、テレビのカメラマンに食って掛かったりと大立ち回りもあります。今回は特にファッションがいい。マニーシュ・マルホートラがデザインした衣装がすごくオシャレでかわいいです。
アヌパム・ケールが与党党首、マヘーシュ・マンジュレカルが州首相、ライバル政党の党首にザキール・フセイン。このへんはみんなベテラン俳優で安心して観ていられます。
勧善懲悪のストーリーに、確立したキャラクター。これにパワフルなアクションやユーモラスなヒロインとのパートが加わり、娯楽作品としては文句なしです。安定感のある作品。これまたシリーズ化は間違いないでしょう。
【Singham Returns】
安心・安定のキャラ、シンガムを見たい人、カリーナーの貫禄の(で、オシャレな)ヒロインを見たい人、ランニング・シャツ姿が好きな人、お勧めです。



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by madanaibolly
| 2014-08-26 03:43
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