2019年 06月 16日
【Student of the Year 2】 |
監督:プニート・マルホートラ Punit Malhotra
出演:タイガー・シュロフ、ターラー・スターリヤー、アナニヤー・パーンデー、アーディティヤ・スィール、アーリヤー・バット(特別出演)
2019年5月10日公開
トレイラー
ストーリー
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ローハン(タイガー・シュロフ)はムスーリーのピショーリーラール・カレッジに通う学生。ピショーリーラールは一般家庭の子弟を積極的に受け入れる庶民的カレッジで、ローハンはそこでスポーツ万能のスター学生。あるときローハンはでデヘラードゥーンにある富裕層向けのカレッジ「セント・テレジア」のスポーツ枠奨学金が当たり、転校することになる。セント・テレジアはローハンの恋人ミアことムリドゥラー(ターラー・スターリヤー)が通うカレッジで、ローハンはようやくミアと同じ学校に通えると喜ぶ。だが、実際のセント・テレジアは親の金の力がモノを言う場所だった。ミアは田舎者っぽいローハンに近づいてほしくないとばかりによそよそしい。
セント・テレジアのスター学生マーナヴ(アーディティヤ・シール)は、スポーツでスターの地位を奪いかねないローハンをライバル視して敵対する。同じカレッジに通うマーナヴの妹シュレーヤー(アナニヤー・パーンデー)もなにかとローハンに突っかかってくる。
そんな逆境の中、ローハンは学内のダンス大会で優勝を目指すが・・・
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カラン・ジョーハル監督【Student of the Year】(2012)の続編。ただし、本作でカランはプロデューサーに回り、【I Hate Luv Storys】(2010)のプニート・マルホートラが監督をしています。
本作を評価する前に前作の感想とその後の一般の評価をおさらいしてみましょう。
「ポポッポーのお気楽インド映画」
【Student of the Year】(2012)
https://popoppoo.exblog.jp/18088509/
【Student of the Year】の第一の感想は「娯楽作としては悪くはないが、カラン・ジョーハル監督のような大監督が作る作品なのかどうかは疑問がある」でした。これについては今でも変わっていません。同作でデビューした3人については、「ヴァルン・ダワン、シッダールト・マルホートラは即戦力」、これはまあ当たり。「アーリヤー・バットは演技力を磨くしか将来望みなし」、これはある意味当たり(演技力なければ消えてた)ですが、ある意味で大外れ(演技力はあった)でした。結局その後3人とも出世して、【Student of the Year】とカラン・ジョーハル監督はスター・メーカーとしての評価が高まりました。
同じ観点から【2】を見てみます。監督は若手有望株のプニート・マルホートラに交代。もしマルホートラ監督が【1】のような作品を作ったのであれば、まさに「作るべき人が作った作品」になったでしょう。ところが、【2】はそうではありませんでした。簡単に言うと「年間最優秀学生賞」を巡る争いが、インド映画ではありきたりともいえる「善対悪」、「庶民対エリート」の戦いになってしまいました。【1】における「賞」の見事なまでの無目的性とは対照的です。
また、アーディティヤ・スィール演じるマーナヴの「エリート」と「悪」を兼ね備えた存在は(彼自身は好演ですが)、健全な学園モノに出てくるには悪すぎです。本当の意味での悪役がいない【1】とこれまた対照的。
主演をすでにスターであるタイガー・シュロフにしたことで、新人のデビュー映画としての意味も薄れています。タイガー自身は無難にこなした感じ。女性2人、アナニヤー・パーンデーとターラー・スターリヤーについては、あくまで主役のタイガーに対するヒロインという役柄上この1作だけスターダムというのはそもそも無理。2人ともデビューとしては悪くはありませんでしたが。
【2】は【1】のような軽さを出し切れなかったのが一番の難点でしょう。【2】を観ることで、結果的に【1】の良さを見直す(あくまで相対的に)ことになりました。
音楽
学園ミュージカル風の非常に豪華なダンスシーンになっています。本作の一番の見どころはダンス・シーンです。
「The Jawaani Song」
【1】の「Disco Diwani」に対応する曲。これは派手派手で好きです。集団の中ですが、タイガーはさりげなくすごい踊りっぷり。
オリジナル
【Jawani Diwani】(1972)
「Yeh Jawani Hai Deewani」 歌:キショール・クマール
https://www.youtube.com/watch?v=kgYwQo7y5PI
「Jatt Ludhiyane Da」
「Hook Up Song」
プロモ・ソングですが【1】のヒロイン、アーリヤー・バットが特別出演。「セント・テレジアの先輩と後輩」というコンセプト。
タイガー・シュロフ ローハン役
スポーツやダンスが盛りだくさんでタイガー向き(学生に見えないことは別!)といえる役ですが、逆に無難にこなしている感じで、悪くはないけれども特に良いというわけでもない。作品の平凡さに呑まれました。
アナニヤー・パーンデー シュレーヤー役
80年代後半からゴーヴィンダーらとの共演で活躍したチャンキー・パーンデーの娘。ちなみに父の次作はプラバースの【Saaho】。本作では(作中の)父との葛藤があったりとまずまずいい役。本人は二世らしく離れした感じはありました。同じ二世のジャーンヴィー・カプール、サーラー・アリー・カーンらとの新世代女優の競争に加わってくるのでしょう。
ターラー・スターリヤー ミア役
テレビのディズニー・インディア・チャンネルでVJや女優をやっていました。モデル系の美人。主人公の幼なじみ兼恋人。お金持ち学校に通い、最初は転校してきた主人公を鬱陶しがるという微妙な役でしたが、本人は演技はまだまだながら見栄えはしました。今後はまだわかりませんが、次作はリテーシュ・デーシュムク主演作に出演が決まっているのは立派。
アーディティヤ・スィール マーナヴ役
主人公と同様にこちらも学生には見えませんが、ハンサム系悪役。【Tum Bin II】(2016)で売り出しましたがさっぱりでしたが、ここで大役をつかみました。ニール・ニティン・ムケーシュみたいな感じになっていければ面白いと思います。
【Student of the Year 2】、「スチューデント・オブ・ザ・イヤー賞」の開催要項も含め、インドの学校制度を知っていたほうが楽しめます。インドには元宗主国イギリスの影響で一部にカレッジ制度が存在します。とはいっていも本家のオックスフォードやケンブリッジのカレッジ制度ほど厳格ではなく、本作のセント・テレジアとピショーリーラールのように、複数の学校(カレッジ)がグループのような連合組織を形成しています。ですから、最初のローハンの転校はあるカレッジからグループ内のカレッジへの転校になります。また、【1】のSOTY賞はセント・テレサの学内対抗戦だったのに対し、【2】はカレッジ同士の対抗戦です。
【Student of the Year 2】
学園モノは好きという人、スポーツをするタイガーは見たいという人、新人女優はチェックという人、おすすめです。
by madanaibolly
| 2019-06-16 18:19
| レビュー