2013年 09月 18日
【Zanjeer】 |

監督:アプルーヴァ・ラキア Aproova Lakhia 出演:ラーム・チャラン、プリヤンカー・チョープラー、サンジャイ・ダット、マヒー・ギル、プラカーシュ・ラージ、アトゥル・クルカルニ
トレイラー
ストーリー
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幼い頃に両親を何者かに殺されたヴィジャイ(ラーム・チャラン)は、やがて成長して正義感の強い警察官になる。ハイデラバードからムンバイ警察に転任したヴィジャイは、マフィアのテージャ(プラカーシュ・ラージ)が牛耳る密造ガソリン貿易の摘発に乗り出す。
そんなとき、ヴィジャイの元に密輸業者絡みの殺人事件を目撃したとの通報があるが、通報者は名乗らずに電話を切ってしまう。ヴィジャイは重要な目撃者として通報者を捜し、やがて、ニューヨーク在住でインドを訪れているマーラー(プリヤンカー・チョープラー)という女性であることがわかった。マーラーはマフィアの報復を恐れて証言を拒むが、ついにヴィジャイの説得で証言をすることに同意する。
同じ頃、マフィアもマーラーを探し当て、襲撃しようとする。彼女の身を案じたヴィジャイは自宅で彼女を匿うことにする。やがて二人は惹かれあい、恋愛関係に。
テージャはヴィジャイを罠にはめ、謹慎処分に追い込むが、それでもヴィジャイは打倒テージャをあきらめない。やがて、両親の死にも関わる驚くべき事実が明らかになる。
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アミターブ・バッチャンが後に彼の代名詞となる「怒れる若者」像を確立し、一躍に人気になった1973年作品のリメイク。監督は【Shootout at Lokhandwala】(2007)のアプルーヴァ・ラキア。
主演はテルグ映画のスターであるラーム・チャラン。あのゴリマーことチランジーヴィーの息子ですが、もうそんな肩書は不要なほどの大物です。そんなラーム・チャランがヒンディー語映画初出演。共演にプリヤンカー・チョープラー、悪役にプラカーシュ・ラージ。さらに作中の有名キャラ、シェール・カーンにサンジャイ・ダット。
ストーリーは正義感の強い警察官ヴィジャイが、ある事件の目撃者でやがて恋人になるマーラーや、不正に手を染めていたが改心し、ヴィジャイの親友になるシェール・カーンらと、マフィアのテージャーを追いつめていくというもの。そこにヴィジャイの両親殺害事件の謎も絡ませて展開していきます。オリジナルではテージャーは密造酒貿易をしていたのが、今回は密造ガソリン貿易になったり、マーラーはオリジナルでは刃物売りだったのが、ニューヨーク在住のNRI(海外在住インド人)になったりとマイナー・チェンジはありますが、ほとんどはオリジナルを踏襲しています。
オリジナルのストーリーがしっかりしているため、警察・犯罪モノとしてはそこそこで、マサラ度もほどほどに加えられています。しかし、オリジナルの【Zanjeer】から現在にいたるまで、それこそ無数に同様の作品が作られており、その一部は【Zanjeer】をモデルにしている中で、リメイク版【Zanjeer】はよほど目新しいものがなければ最初から勝負になりません。しかし、そうしたものは見当たりませんでした。
唯一の売りはラーム・チャラン主演ですが、これもどれほど観客へのアピールになったかは疑問です。チャラン自身は演技はしっかりしていたし、プリヤンカーらとの絡みもまずまずで悪くはないのですが、役そのものが新鮮さが感じられるとはいいがたく、テルグ映画のスターとはいえ、ボリウッド・デビューの役として適切だったとは思えません。まして、オリジナルと必ず比較される運命にあるリメイクとあれば、チャランがかわいそうな気すらしてきます。
音楽
ラーム・チャランを踊らせるべきなのかどうかで中途半端になった感じです。もっと踊らせれば良かったのにと思います。曲ではプリヤンカーが明らかに目立っています。
「Pinky」
自分の映画でアイテム・ソングをやるプリヤンカー。
「Lamha Tera Mera」
二人の曲なのですが、やはりプリヤンカー。
「Khochey Pathan Ki Zubaan」
こちらはサンジャイ中心で、チャランはちょっとだけ。
ラーム・チャラン ACPヴィジャイ・カンナー役

テルグ映画のスターも、少なくとも今作だけでブレークできるような活躍はできませんでした。といっても、チャラン自身が悪かったわけではなく、言葉も演技も特に問題はありませんでした。南インド映画スターのボリウッド進出はやはり難しいようです。なんといってもあのラジニカーントですら、ヒンディー語映画では思ったような活躍はできなかったのですから。外部からの俳優(特に男優)を受け入れない点では、ボリウッド(およびその観客)はインドの各映画産業の中で最も保守的なのかもしれません。
プリヤンカー・チョープラー マーラー役

アミターブ・バッチャン主演作のリメイク【Don】にも出演しているプリヤンカー。ある事件の目撃者として主人公ヴィジャイと関わり、やがて恋愛関係になる役ですが、オリジナルのジャヤー・バッチャンがやった役ほどの重きが置かれていない気がしました。つまり、プリヤンカーにとっては大したことのない役。しかし、それでも圧倒的な存在感を発揮しています。悪くいえば、ちょっと浮いてました。
サンジャイ・ダット シェール・カーン役

オリジナルでは、先日亡くなった名悪役俳優プラーンがやった有名な役。それとは比べものになりませんが、サンジャイのシェール・カーン、少なくとも風貌は良くできていました。今作がおそらく入獄前最後の作品でしょう。
ラーム・チャラン主演ということもあり、【Zanjeer】はヒンディー語版のほか、テルグ語版も作られました。言葉だけの吹替えだけでなく、タイトルも違い、キャストも一部異なります。テルグ語でのタイトルは【Thoofan】。サンジャイ・ダットのシェール・カーンはテルグ語版ではシュリー・ハリ。アトゥル・クルカルニが演じたジャーナリストはテルグ語版ではジャイデーヴがやっています。
オリジナルの【Zanjeer】(1973)は、ヒンディー語映画の転換点になった作品といわれています。60年代に活躍した元祖スーパー・スターのラジェーシュ・カンナーに代表される品行方正な主人公から、「怒れる若者」アミターブ・バッチャンのような、したたかで抜け目なく、ときには暴力も辞さない主人公が中心になり、作品もそれに応じて変わっていきました。そんな歴史的作品である【Zanjeer】、ちょっとした企画でリメイクするのは荷が重過ぎたのではないでしょうか。
【Zanjeer】(1973)

【Zanjeer】
ラーム・チャランのコアなファンの人、どんな役でもプリヤンカーという人、サンジャイ・ダットしばらく見納めだという人、お勧めです。


by madanaibolly
| 2013-09-18 01:35
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