2012年 10月 20日
【Makkhi】 |

監督:S・S・ラージャモウリ S.S.Rajamouli 出演:スディープ、サマンタ、ナニ
トレイラー
ストーリー
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ジャニ(ナニ)は、家の向かいに住むビンドゥ(サマンタ)のことが好きで、もうかれこれ2年も追い回しているが、肝心の想いを伝えることができない。ビンドゥは極小のアクセサリーなどを作るマイクロ・アーチストで、慈善活動を行うNGOを運営している。
建設会社社長のスディープ(スディープ)は野心家で自信家、そして無類の女好き。この世に落とせない女はいないと思っている。そんなスディープはNGOとして寄付を募りに来たビンドゥに目を付ける。
ある日、ちょっとしたきっかけから、ジャニはビンドゥに想いを伝える。するとなんと、ビンドゥのほうもジャニのことを好きになってくれた。だが、スディープはビンドゥを手に入れる邪魔になると考え、ジャニを呼びだし、なぶり殺しにする。
死んだジャニが生まれ変わったのはなんとハエだった。ハエになったジャニは前世でのスディープへの恨みを思い出し、スディープへの復讐に乗り出すのだった。
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今年7月に公開され、大ヒットとなったテルグ映画【Eega】(タミル語吹き替え版【Naan Ee】、マラヤーラム語吹き替え版【Eacha】も同時公開)のヒンディー語吹き替え版です。監督のS.S.ラージャモウリはラーム・チャラン・テージャ主演で大ヒットとなったテルグ映画【Magadheera】(2009)の監督。
タイトルは各言語で「ハエ」の意。そして、【Makkhi】も同様です。主人公は恨みを持って殺された男の生まれ変わりであるハエ。蝿男の話ではありません。ハエの話です。生まれ変わりの話、すなわち「輪廻モノ」という点では、同監督の【Magadheera】と同じですが、【Magadheera】が400年の時空を超えたスケールの大きな物語であるのに対し、【Makkhi】はハエの復讐話。スケールとが大きいのやら、小さいのやら。
主人公のハエはVFXによるもので、リアルというよりはアニメ的。その動きも、作品の後半には人間とコミュニケーションを取ったりするように、人間的なジェスチャーもします。単純にヴィジュアル面でいうと、必ずしもリアルだとは言えません。
ところが、設定やストーリーを含めて観ると、これが実に面白いです。
まずは設定。ハエに生まれ変わって前世の復讐をするとは、とてつもなく荒唐無稽。【Magadheera】や【Om Shanti Om】をあげるまでもなく、インド映画では輪廻による復讐ものは一般的。しかし、よく考えてみると、人間が死んでも来世が人間とは限らないわけで、ましてチャランやシャールクみたいにカッコよく転生するなんて、かなり都合のいい話。ヘビやウマに生まれ変わってもおかしくありません。しかし、【Makkhi】みたいにハエに生まれ変わってしまったら、今生での復讐は諦めて、来世にせめてイヌくらいになってから復讐しようとするのがふつうでしょう。ところが、諦めずにハエのまま復讐をしようとするのが【Makkhi】のツボです。
ストーリーはハエが人間に復讐しようとするなら、こうするだろうという方法の連続。後半は人間(ビンドゥ)の協力を得て、現実味は薄れますが、それでもハエならではのピンチに陥ったりとハラハラさせる展開です。そして、驚くことに観ているほうは、いつの間にかハエに感情移入して、応援しています。
大胆な発想と、それを実現してしまったパワーには驚くばかり。【Eega】はテルグ映画の人気監督の作品。ビジネスとして巨大になって、掛っているものが大きくなった現在のボリウッドではなかなかここまでやるのは難しいかなという気もします。
音楽
日本で外国映画を吹き替えで公開する場合、音楽シーンだけは原語だったりすることが
ヒンディー語以外の映画を吹き替えで公開する場合、歌までヒンディー語バージョンを作るのがふつうです(【Enthiran/Robot】もそうでした)。
手を抜いているわけではないですが、曲調が違う曲を付ける場合もあり、やはりオリジナルではない違和感がある気はします。
「Aare Aare」
同じシーンのオリジナル、テルグ語【Eega】「Nene Nani Ne」
ハエ

立派に主人公でした。
スディープ ハエの復讐相手スディープ役

今回はこの人がいなかったら作品は成り立たなかったでしょう。極悪人の役ですが、ハエに向かって本気で怒り、怯え、ののしる演技は見ものです。カンナダ映画を中心に活躍する俳優ですが、すでにボリウッドでも【Phoonk】(2008)、【Rann】(2010)、【Rakht Charitra】(2010)などのラージ・ゴーパル・ヴァルマー作品への出演で知られています。
サマンタ マイクロ・アーティストのビンドゥ役

死んだ元恋人(なりかけ)がハエに生まれ変わって目の前に現れるという、世にも奇妙な経験をする女性の役。そして作品の後半はハエとコミュニケーションをとります。そんな、ある意味とんでもない役をやるサマンタ。かわいいですが、ちょっとネクラな感じも出せてます。それもそのはず、サマンタはデビュー作がゴウタム・メノン監督の【Ye Maaya Chesave】(2010)。タミル語版【Vinnaithaandi Varuvaaya】と同時制作のテルグ語版(のちにヒンディー語版【Ekk Deewana Tha】(2012))で、「最も難しい女性」ジェシー役をやりました。その後、瞬く間にテルグ映画ではトップ女優になっています。
微小のアクセサリーを作るマイクロ・アーティストというのはもちろん物語の伏線になっています。
ナニ ハエに生まれ変わるジャニ役

【Makkhi】の主人公はハエなので、「ハエの前世のジャニ役」とするのが正しいのかもしれません。ふつう、【Om Shanti Om】でも【Magadheera】でも、生まれ変わる前と後は同じ俳優が二役でやるのですが、【Makkhi】ではハエに生まれ変わってしまうので、出番は序盤でおしまい。テルグ映画の俳優です。
大胆な発想ですが、バカバカしいといわず、とにかく観てください。楽しめます。
【Makkhi】
ハエが主人公の映画が成り立つのか疑っている人、スディープの名演技を見たい人、サマンタを見ておきたい人、お勧めです。


by madanaibolly
| 2012-10-20 00:56
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