2011年 05月 05日
【Chalo Dilli】 |
監督:シャシャント・シャー 出演:ララ・ダッタ、ヴィナイ・パタック、ヤナ・グプターほか
ララ・ダッタのプロダクションであるBheegi Basanti Productionの初作品。
トレイラー
ストーリー
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国際投資銀行の重役を勤めるミヒカ(ララ・ダッタ)は業界でも注目されるキャリア・ウーマン。高級なライフスタイルを維持し、潔癖症ともいえる清潔好き。そんなミヒカが夫の住むニューデリーに向かおうとするが、途中、ある男のせいで当初乗るはずだった飛行機に乗り遅れてしまう。代わりにのった格安航空会社のフライトはテクニカル・プロブレムで急遽ジャイプルに着陸。翌朝までにデリーに着きたいミヒカはタクシーをチャーターするが、その運転手は寝不足でろくに運転できない。そんなとき車に乗り込んできたのは「あの男」、オールド・デリーで布屋を営むマヌー(ヴィナイ・パタック)。代わりに運転するマヌーだが、なんとデリーとは反対方向の砂漠に向かって走っていた!偶然から旅の道連れになった2人。果たしてデリーにたどり着けるのか?
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ララ・ダッタの初めてのセルフ・プロデュース作品で、なにか気取った役でもやるかと思いきや、非常にオーソドックスな役柄でした。作品としても、奇をてらわずストーリー展開や登場人物の描写や会話で見せるという地味な作りながら、とても味わいのある良作になっています。
作品のみどころはララ・ダッタ演じるハイソなキャリア・ウーマンによる「インド体験」。初めてインドを旅する外国人旅行者の経験をインドの「洗礼」などと言いますが、主人公ミヒカが作品中で体験するのはまさしくそれ。飛行機で隣に座った「嫌な奴」、故障する車、衛生状態が心配な食事、虫、遠慮のない強烈な視線、泥棒にスリ。快適な飛行機の旅のはずが、一転、これらインドをすべて体験することになります。インドを旅行したことがある人は「あるある」とうなずくことが1度や2度ではないはず。
そんな彼女でも村で一泊したあとの朝日の美しさに感動したり、素朴な人々と触れ合ったり、次第に当初のギスギスした雰囲気がなくなっていきます。もっとも、朝日に感動するミヒカに「なぜ?朝日なんて毎日昇るのに。」と不思議そうな顔をするマヌーもお決まり。しかし、これでミヒカがインドを見直してメデタシメデタシといかないのがこの作品。インドはそんな一筋縄ではいかないのです。
作品では、ミヒカがインドのある部分を毛嫌いするのも、そんなミヒカをもみくちゃにするインド体験や「インド人代表」のマヌーも嫌味だったり説教臭くなく、いずれもコミカルに描かれていて、重苦しい感じがありません。そのへんのバランス感覚もすぐれていると思います。
音楽は全体に軽く挿入されるだけですが、一曲だけヤナ・グプターがアイテム出演する曲があります。
「Laila O Laila」
これはフィーローズ・カーン主演の【Qurbani】(1980)の同名曲のカバー。
ララ・ダッタ デリーに行きたい・・・ミヒカ役
これまでのララ・ダッタの印象といえば「器用貧乏」。美人でスタイルもいいし、【Billu】(2009)のような優しい奥さんタイプから、【Blue】(2009)のセクシー、【Houseful】(2010)などのコメディまでできるうえ、映画賞の司会などもこなしてしまうのに、今ひとつこれぞといった役、取り憑かれたような凄みがありません。今回、セルフ・プロデュース作品でとても自由に演技ができているような気がしました。これがそく代表作になるわけではありませんが、今後につながりそうな好演でした。
ヴィナイ・パタック デリーに行きたい?・・・マヌー役
怪優ヴィナイ・パタックなので、いまさらどんな役をやっても驚きませんが、「嫌な奴」と「いい奴」の両方が混じったマヌー役を楽々とこなしたうえ、ララ・ダッタの良さまで引き出しているように見えるところはさすがです。マヌーはインドで出会う人物の特徴を混ぜ合わせたような人物。自信満々に「大丈夫、心配するな」と言いながら、やることなすことすべてが裏目に。しかし、行く先々ですぐに人々と仲良くなってという、【Athiti Tum Kab Jaoge】(2010)でパレーシュ・ラワルがやった「オジチャン」役の都会版といったところでしょうか。
デリーでミヒカを待つ夫役が特別出演のあの人です。すでに出てしまっていますが、見ないで済むなら見ないほうが楽しめるかもしれません。
【Chalo Dilli】。ちょっととぼけた味なコメディ。派手な作りではないものの、インドのロードムービーの面白さを楽しめる作品です。
【Chalo Dilli】
ララに重ねてインド旅行を思い返してみたい人、一味違ったララを見たい人、特別出演のあの人が楽しみな人、お勧めです。
by madanaibolly
| 2011-05-05 18:32