2010年 12月 05日
【Rakht Charitra 2】 |

【Rakht Charitra 1】から1か月ちょっとの間をおいて、後半の公開です。前編のときはバイオレンスがスゴイと聞いてためらいもありましたが、今回はちょっと前目の席をリクエストして迫力の大画面で観てきました。
監督:ラーム・ゴーパル・ヴァルマ Ram Gopal Varma、出演:ヴィヴェーク・オベロイ、スーリヤ、シャトゥルグン・シンハー、プリヤマニ、ラディカー・アプテーほか
トレイラー
ストーリー
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父の復讐を果たしたプラタープ(ヴィヴェーク・オベロイ)。州首相シヴァージー・ラーオ(シャトゥルガン・シンハー)の助けで州大臣になった。敵対勢力も一掃し、もはやプラタープの権力は揺るがないかにみえた。だが、密かにプラタープの命を狙う男がいた。スーリヤ・レッディ(スーリヤ)。プラタープに殺されたナラシンハ・レッディの息子。プラタープが権力の座に就き、敵対勢力を一掃する際に、母や弟も殺された。
スーリヤは最初、プラタープを爆殺しようとするが失敗。逆にプラタープに命を狙われるようになる。スーリヤは獄中で再起の機会を伺う。その間、スーリヤの妻バワニ(プリヤマニ)はシヴァージー・ラーオの政敵の助けを借り、プラタープの対立候補として州議会選挙に立候補する。そしてスーリヤが再びプラタープに牙を向く機会がやってきた。
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最初の15分ほどを使って全編のおさらいがあったあと、後編が始まります。【I】に登場した多くの人物は死に、【2】ではだいぶ出演者が入れ替わりました。【2】から登場のスーリヤは後編の事実上の主人公です。
前編の主人公プラタープが復讐のため、人間的なところを捨てて鬼となったのに対し、後編のスーリヤは復讐に燃えるところは同じでも、どこか人間的なところを残しています。これと合わせて、シンプルな復習譚であった前編に比べ、後編は微妙な感情が交錯して話は複雑になり、ドラマ性も強くなります。
バイオレンスはやはり激しいですが、それでも前編に比べるとわずかに大人しい気がしました。前編のバイオレンス・シーンを象徴するのがプラタープの鎌ならば、後編はスーリヤの肉体。殴り合いが主流になります。また、前編はスピーディーに(次々と殺していくという意味で)展開するのに対し、後編ではじっくりと時間をかけて見せるバイオレンス・シーンが中心。いまにも爆発しそうな爆弾、どこかに隠れていていつ出てくるかわからない暗殺者など、サスペンスとして緊張感を高めています。
後編の主人公はスーリヤでも、前後編を合わせた【Rakht Charitra】の主人公はまぎれもなくプラタープ。父の復讐のため暴力に手を染めるが、やがてそれによって得た権力を守るために暴力を振るわざるをえなくなり、最後にはその暴力によって生まれた別の暴力により滅ぼされます。しかし、プラタープですらより大きな暴力の連鎖の一部に過ぎません。ラストシーンでは、さらなる暴力が繰り返される可能性が暗示されています。
強烈な表現方法で異彩を放ちつつも、【Rakht Charitra】は繰り返される無益な暴力の応酬を描いてみせています。ラーム・ゴーパル・ヴァルマ作品の中でも傑作に入る作品です。
前編から連続して出演者はもちろん、後編からの出演者も熱演。
スーリヤ (家族の復讐のためプラタープを狙うスーリヤ役)

南ではすでにスーパースターのスーリヤ。ヒンディー映画は初出演ですが、やはり貫禄が違います。作品のテーマにピッタリの鉄の肉体に鬼の形相をするかと思えば、母や妻への感情を示す繊細な演技もあり、【Rakht Charitra 2】を引っ張っていました。これからもヒンディー映画への定期的に出演するのかどうかはわかりませんが、今回、南インド映画の底力を見られただけでも満足です。
プリヤマニ (スーリヤの妻バワニ役)

とても可愛らしいです。しかし、ただ可愛いだけではなく、夫を助けるため選挙に立候補するなど気丈なところもきっちり演じており、表現力も豊かです。とても魅力的な女優さんだと思います。マニラトナム監督の【Raavan / Raavanan】にも出演していました。。ヴィディヤー・バーランはいとこ。追いかけてみようと思ったら、テルグ、カンナダ、マラーヤラム。なかなか大変そうです。
ヴィヴェーク・オベロイ (次第に追い詰められていくプラタープ役)

純粋な復讐心から暴力を振るった前編から、自らの保身のために暴力を振るうようになるプラタープ。観客にとっては悪役になります。前後編の大長編を変化しながら演じ通すのは難しかしいと思いますが、ヴィヴェークは演じきりました。最初に襲われた時の表情(トレイラーにあります)やスーリヤとの睨み合いはド迫力でした。
ラディカー・アプテー (プラタープの妻ナンディニ役)

今回、前後編を通じて非常に印象に残りました。【1】のときにも書きましたが、舞台出身で、ナショナル・フィルム・アワード受賞のベンガリー映画【Anthaheen】(2009)で主役を演じている実力派。芸術系映画向きだと思いますが、これから活躍しそうです。
【Rakht Charitra 2】
【Rakht Charitra I】を観た人、南のスター、スーリヤを見てみたい人、ヴィヴェークの復活は大歓迎という人、お勧めです。



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by madanaibolly
| 2010-12-05 02:32
| レビュー
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