2010年 08月 21日
【Lafangey Parindey】 |

ニール・ニティン・ムケーシュとディーピカー・パードゥコーンの初共演で注目の作品。ヤッシュ・ラージ・フィルムの作品にもかかわらず、どことなく公開前の盛り上がりに欠けている気もしたのですが、果たしてどうでしょうか?
監督:プラディープ・サルカール Pradeep Sarkar. 出演:ニール・ニティン・ムケーシュ、ディーピカー・パードゥコーン、ナミット・ダース、ケイ・ケイ・メノン(特別出演)。
トレイラー
ストーリー
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ムンバイの下町。ナンドゥ(ニール・ニティン・ムケーシュ)は賭け目的で行われるボクシングのボクサー。ボクシングといっても、ナンドゥだけが目隠しをし、素手で殴り合う変則ルール。散々相手に殴らせ、最後に一撃で相手を倒す。ナンドゥは勝ち続け、「一撃ナンドゥ」の異名をとる。しかし、ナンドゥはそんなヤクザな生活から抜け出せず、悪友たちと吹き溜まる日々。そんななか、近くに住むピンキー(ディーピカー・パドゥコーン)はローラースケートのダンスでそんな生活を抜け出そうと日々練習に励んでいる。
ある日、マフィアの仕事を手伝うことになったナンドゥ。アンナー(ケイ・ケイ・メノン)が殺しの仕事をする際の運転手の仕事だったが、焦ったナンドゥは逃げる際に轢き逃げ事故を起こしてしまう。その場は瀕死のアンナーが罪をかぶることで済んだが、翌日、自分が起こした事故を知ったナンドゥは愕然とする。撥ねた相手はピンキー。事故のため、ピンキーは視力を失う。
ブラインド・ボクシングの経験からピンキーに視力に頼らない方法を教えるナンドゥ。ピンキーは希望を取り戻し、ダンスを再開する。ピンキーはテレビのダンス・コンテストに参加するが、ひょんなことからナンドゥがその相手役になる。そして、二人の間にはほのかな愛が芽生えるが・・・。
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大作ぶったり、奇をてらったりせず、誠実に作られた作品という印象でした。サルカール監督の作品には【Parineeta】(2005)や【Laaga Chunari Mein Daag】(2007)があります。おそらく、とても真面目な人なのでしょう。しかし、今回はいいキャスティングと俳優の魅力を生かしきった演出で成功だったと思います。
冒頭のボクシングのシーン。目隠しのナンドゥが一方的に殴られているのを見ると、これは普通のボクシングではないとすぐに分かります。賭けを目的として行われる半ば闇のボクシング。同じようなボクシング・シーンはアーミル・カーンの【Ghulam】(1998)でも出てきました(アーミルがボコボコにされてました)。ムンバイのアンダーワールドの象徴です。こうした裏ボクサー・ナンドゥの役はニール・ニティン・ムケーシュにははまり役でした。
いきなりこれだもの。

そんなナンドゥが最初は自分が視力を奪ったことから、後にはそれを超えて思いを寄せるようになるダンサーのピンキー。こちらもディーピカーにピッタリの役でした。ダンサーとしても、視覚障害者としても、肉体的にタフな役でしたが、それでいながら美しさも発揮する、ディーピカーの魅力が良く出る役でもありました。
ストーリーは冒頭のボクシング・シーンから想像されるほどどぎついものではなく、どちらかというと純愛モノ。しかし、ピンキーの視力を奪ったのが他ならぬナンドゥであるという事実による緊張感を常にはらんでいます。ダンス・コンテストで勝ち進んでいくにつれ、そして二人の愛が深まっていくにつれ、事故を追求する警察の捜査の手も強まるという構成でストーリーを盛り上げています。
相手に言えない秘密を抱えたまま恋愛が進行していくという話は多くありますが、【Lafangey Parindey】ではそれがナンドゥによる事故とピンキーの失明です。失明という道具立てが全編にわたって上手く生かされています。ナンドゥがブラインド・ボクシングの選手であるというのもその一つですが、もう一つはピンキーが盲目のダンサーであるという点。【Lafangey Parindey】ではクライマックスがダンス・コンテストでのダンスシーンになり、これは同じヤッシュ・ラージ・フィルムの【Rab Ne Bana Di Jodi】(2008)と同じです。しかし、【RNBDJ】のダンスシーンがちょっとほのぼのとした感じだったのに対し、【Lafangey Parindey】でのダンスシーンはその設定と振り付けで、ちょっとゾクっとさせられました。ピンキーの目が見えないことに関係するのですが、ネタバレになるのでここまでにしておきます。素敵なダンスシーンでした。
ダンスシーンはローラースケートによるダンスシーンですが、スタントはあるにしても、かなりの部分をニールとディーピカー自身が演じています。ニールがディーピカーをスイング、リフトする場面もあり、これには感心しました。
欠点があるとすると音楽でしょうか。印象に残るものが少ない気がしました。
ニール・ニティン・ムケーシュ (ブラインド・ボクシングのボクサー、ナンドゥ役)

デビューの【Johnny Gaddaar】(2007)、【Aa Dekhen Zara】(2009)、【Jail】(2009)となんだがゴツイ役ばかりの気がしますが、今回もやはりゴツイです。ボリウッドではかつてダルメンドラやサニー・デオルがそうだったように、ゴツイ役をやれる俳優は絶対に必要。ニールは十分にその期待が持てます。ところが【Lafangey Parindey】はそれだけではありません。【New York】(2009)の前半で見せた純情青年も入っています。そこでニールの良さを出すには、
・同世代の俳優にはとてもできないゴツイ役をやらせると良い
・しかし、根は純朴という設定にするのなお良い
ディーピカー・パードゥコーン (盲目のダンサー、ピンキー役)

まずはディーピカー、演技が上手くなりました。彼女の演技についてはあまり良く言ってきませんでしたが、着実に力を付けていることに間違いはありません。今回は特にディーピカーの魅力が良く出る役と演出で輝いた感じがします。ディーピカーの良さを出すには、
・下町風のほうが良い:【Love Aaj Kal】や【Housefull】が悪かったわけではありませんが、威勢がいいほうが楽に出来ている気がします。
・顔よりも体で演技:ヘンな意味ではありません。運動神経がいいからでしょうか。ダンス、アクションを含め全身を使った演技のとき、手足の先まで神経が行き届いているといった感じのいい演技になります。
・思い切り感情を表すときにはアップで:もちろん、これは美人なので。
目が見えない役といえば、最近では【Black】(2005)のラーニーですが、今回は演出がまったく違うため、比較できません。今回は「目が見えないけれど、ここまでできる」という微妙な設定を少なくとも体の動きなどでは良く出せていたと思います。
あと、文句なしにキレイでした。
ケイ・ケイ・メノンは特別出演で登場時間はわずか、最初は誰だか分からない風采ながら、異彩を放ってました。ピンキーたちの友人役として、【Wake Up Sid】(2009)でランビールの友人役だったナミット・ダース。事故の真相を追う刑事役に、【Rocket Singh – Salesman of the Year】でランビールの会社の悪徳社長だったマニーシュ・チョウダリー。
プロモーションも、作りも現在の大作の基準からいうと地味なのがちょっと気になるところです。果たしてインドの観客はどう捉えるのでしょうか。しかし、良作なのは間違いなく、ニールやディーピカのファンはもちろん、そうでない人も楽しめると思います。
【Lafangey Parindey】
ディーピカーのファンの人、ニールのファンまたはニールを見てみたい人、ゴツイながらも純愛という設定に魅かれる人、ニールとディーピカーのスケート・ダンスを見てみたい人、お勧めです。
おまけ
【I Hate Luv Storys】とまったく同じロケ場所。これはムンバイのマリン・ベイを縦断するBandra-Worli Sea Link。今年の3月に開通したばかり。それにしても反対側から撮るとかなんとかすればいいのに。



by madanaibolly
| 2010-08-21 05:22
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