2009年 08月 30日
《Quick Gun Murugun》(2009) |
このところ面白いものもそうでないものも含めオーソドックスな作りのボリウッド映画が多かったので、ちょっと変わったものが観たくなり、【Quick Gun Murugun】を観に行きました。ヒンディー映画でないこともありますが、その作り、内容ともに、番外編に入れてもいいくらいの変り種です。
監督:シャシャンカ・ゴーシュ Shashanka Ghosh. インドのカルト映画の一つといわれる【Waisa Bhi Hota Hai Part II】(2003)の監督です。
出演:ラジェンドラ・プラサード、ナッサル Nassar、ラジュー・スンダラム、ランバ Rambha、ゲスト出演でヴィナイ・パタック、ランビール・ショレイ、サンディヤ・ムリドゥル。ラジェンドラ・プラサードはテルグ映画の大スターです。
トレーラー
長めのプロモ
ストーリー
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クイック・ガン・ムルガン(「早撃ちムルガン」ラジェンドラ・プラサード)は現代の南インドのカウボーイ。1980年代南インドのある町ですべてのレストランをノンベジに変えようとする悪党ライス・プレート・レッディ(ナッサル)の野望を阻止しようと戦うが、志なかばで命を落とす。しかし、「死亡省(Ministry of Death)」の役人チトラグプタ(ヴィナイ・パタック)のとりはからいで、地上に戻ることを許される。しかし、戻ったのは21世紀のムンバイ!ライス・プレート・レッディはノンベジ世界制覇の野望を実行に移すべく、ノンベジ・ドーサのチェーン店「マック・ドーサ」を立ち上げようとしていた。踊り子のマンゴー・ドリー(ランバ)の助けを借り、ムルガンは再びライス・プレートに戦いを挑む。
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とにかく変わっていてなかなか説明が難しいのですが、アメリカン・コミックの映画化にタミル映画で味を付けた感じでしょうか。ストーリーは他愛のないものですが、タミル映画のギミックやユーモラスなキャラクターで大いに楽しめました。もともとクイック・ガン・ムルガンのキャラクターは1994年にインドの音楽チャンネルである「Channel V」の放送開始の際にそのプロモーション用キャラクターとして作られたものですが、密かに人気を得て、今回の映画化となりました。
アメリカン・コミックの雰囲気はありますが、絶対にこれはハリウッドでは作れないでしょう。細かなところにインド要素が織り込まれており、インドを知る人ほど笑える箇所が増えると思います。そもそも善玉と悪玉の戦いがベジタリアンとノンベジタリアンの戦いに重ねられています。ご存知のように南インドはベジタリアンの強いところで、その代表的な食べ物であるドーサがノンベジであるなど、絶対にありえません。ベジの寿司以上にありえません(ベジ寿司はあるみたいですが・・・)。ムンバイの有名な弁当配達人ダッバワーラーがストーリーに織り込まれていたり、最初の南インドのシーンで「Institute of Coconut Tree Climbing(ココナツ登り大学)」の看板がちょこっとでてきたり。ちなみにヴィナイ・パタック演じる死亡省の役人チトラグプタの名は、インド神話で死の神ヤマのアシスタント、記録係をつとめる神の名前からきています。
南北インド映画の俳優が出演し、みな、ちょっととぼけた感じでキャラクターを演じています。
ラジェンドラ・プラサード (インド・カウボーイ、クイック・ガン・ムルガン役)
ラジェンドラ・プラサードは200本以上に出演しているテルグ映画のスターです。ムルガンはその名のとおり、銃の名手で、カウボーイとして悪と戦うことを自分の使命と考えています。しかし、女性には優しいですが(女性は撃ちません)、ちょっと奥手でもあります。ムルガン役として化粧をしていますが、この化粧、昔のタミル映画の俳優はこんな化粧をしていました。どうしてそうなのかは詳しい人に聞いてみようと思っています。
素顔のラジェンドラ・プラサード
ナッサル Naasar (ノンベジの世界制覇を企むライス・プレート・レッディ役)
こちらはタミルの俳優さんです。結構すぐ人を殺したり、残酷なこともするのですが、それでもユーモラスな悪役になっています。
ランバ Rambha (ムルガンと惹かれ合う、踊り子マンゴー・ドリー役)
タミル、テルグ、ボジョプリ映画で活躍する女優さん。最近は南の映画のちょっと太めの女優さんの代表格みたいになってます。今回のマンゴー・ドリー役、とても可愛いです。金髪のカツラが妙に似合ってます。マンガからそのまま出てきたような印象です。
なかには突飛過ぎると顔をしかめる人もいるかもしれませんが、逆にハマる人も大勢でてきそうな映画です。インドの代表的カルト・ムービーになりそうな気配です。
【Quick Gun Murugun】
たまにはとても変わったインド映画を観たい人、「なぜインドにカウボーイが?」と突っ込まない人、テルグのスター、ラジェンドラ・プラサードを見てみたい人、自分はカルト映画向きだと思う人、ライス・プレートやマンゴー・ドリーなどのキャラクター名だけでも面白そうだと思う人、お勧めです。
by madanaibolly
| 2009-08-30 21:00
| ヒンディー以外の映画