2017年 12月 30日
【Tiger Zinda Hai】 |
出演:サルマーン・カーン、カトリーナ・カイフ、ギリーシュ・カルナード、パレーシュ・ラワル、アンガード・べーディー
トレイラー
ストーリー
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イラク北部。インド人看護婦グループが乗ったバスががイスラム教過激派組織によってバス・ジャックされ、看護婦たちはそのまま現地の病院に監禁された。その際にイラク軍の攻撃によって負傷した過激派組織の指導者アブー・ウスマーンも同じ病院に運びこまれた。同組織に手を焼くアメリカはアブー・ウスマーン暗殺のため病院を空爆することを決定する。だが、空爆が行われれば人質となった看護婦たちの命はない。空爆まではわずか7日間。
インドのスパイ機関情報・調査部(RAW)のシェノイ部長(ギリーシュ・カルナード)が看護婦救出のための最後の手段として伝説のスパイ、タイガー(サルマーン・カーン)の作戦投入を提案したとき、誰もが驚いた。タイガーは8年前の任務で死亡したことになっていたからだった。だが実は、スパイを引退したタイガーはパキスタン情報部のスパイだったゾーヤー(カトリーナ・カイフ)と結婚して世界のどこかで暮らしていた。「タイガーは生きている」のだった。タイガーを引退から引き戻すため、シェノイたちはタイガーを探し始める。
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サルマーン・カーン主演のスパイ映画【Ek Tha Tiger】(2012)(邦題『タイガー 伝説のスパイ』)の続編。引退していたタイガーがスパイの現場に復帰して活躍する作品です。タイトルは「タイガーは生きている」。
監督が前作のカビール・カーンから、【Gunday】(2014)、【Sultan】(2016)のアリー・アッバース・ザファルに代わっています。
出演は主演のサルマーン・カーン、カトリーナ・カイフ、シェノイ部長役のギリーシュ・カルナードが前作から連続の出演。ベテランのパレーシュ・ラワルがタイガーがミッションの途中で出会うクセ者役。【Pink】(2016)で悪役のアンガード・ベーディーがタイガーのチームの一員役。
前作の【Ek Tha Tiger】はスパイ・アクション作品としては異色作であり、そのことで非常に魅力的な作品になっていたと思います。
「ポポッポーのお気楽インド映画」
【Ek Tha Tiger】
http://popoppoo.exblog.jp/17879457/
続編の本作【Tiger Zinda Hai】はその点で正統派のスパイ・アクション寄りになりました。アクションの迫力やサスペンス要素の緻密さ、ストーリー展開の速さなどはハイレベル。過去のボリウッドのアクション作品がノロく、ユルく見えるほどです。また、銃撃戦や爆弾だけでなく、舞台が病院なだけに薬物などの「小技」もあって楽しめます。
サルマーンがサルマーンとしてではなく、普通の意味でカッコいいのも本作のみどころです。前作はまさにサルマーン向きの作りだと思いましたが、作風が変わった本作でも見事に対応している点は俳優としてのサルマーンの力を感じました(まさにサルマーン、という某シーンはありますが)。それに引っ張られるようにアクションを連発するカトリーナもこれまでになく美しくかつカッコいい。
つまり【Tiger Zinda Hai】は娯楽アクション作品として完璧と言わないまでもほぼ満点といえる作品です。一方で、前作でみられた遊び心はありませんでした。前作ではミッションから帰ったタイガーがご近所から白い目で見られたり、ゾーヤーとの恋愛ではインド政府と距離を置いたりと、国家に忠実なスパイとは違う新鮮なスパイ像を作り上げました。
本作でもゾーヤーとの間に子供ができて家族持ちになる、ミッションではパキスタンのスパイ・チームと共同作戦を行うなどの展開はありますが、キャラクターや大きな設定において新たに創造されたところはありません。続編だからある程度は仕方がないとはいえ、そうして前作で作られたタイガーというキャラクターを一方的に消費した印象です。
ストーリーの設定でもイスラム過激派相手の救出ミッションで単線的。一人を除き「敵か味方か?」のような人物も、味方による裏切りも、魅力的な悪役も出てこないのはやや物足りません。もちろん、シンプルなエンターテイメント作品としてはそうした複雑な要素は排除したほうがいいという制作サイドの判断でしょうし、実際に出来上がった作品のパワーを見るとそれもありかと思わないでもないですが、前作の遊び要素やユルさが好きだった者としてはやや複雑な気持ちです。
とにもかくにもスーパー娯楽作品であることには間違いありません。多少は型にはまっているとも言えますが、その型からはみださんばかりのパワーにあふれています。最初から最後までノンストップのアクション・スリラーとして楽しめます。
音楽
音楽はヴィシャール=シェーカル。
「Dil Divan Gallan」
前作の要素が残された素敵な曲。
「Swag Se Swagat」
カトリーナがいい。
サルマーン・カーン タイガー役
前作【Tubelight】(2017)が興行的に不調で、さすがのサルマーンも作品が良くないとダメであることがわかりました(それもで100カロール[10億ルピー]を突破しているのはすごいところ)。反対に【Sultan】(2016)や本作を観ると(どちらもアリー・アッバース・ザファル監督作品)、サルマーンも別に人気だけでやっていたわけではないのことがわかります。顔つきも引き締まった感じでカッコいい役でした。
カトリーナ・カイフ ゾーヤー役
なかなかヒットに恵まれなかったカトリーナ。本作は久々の大ヒットにふさわしい良い役で良い演技でした。タイガーのパワフルなアクションに対して、ゾーヤーの美しいとさえ言えるシャープでスマートなアクション。アクション・コンビとしてもタイガー=ゾーヤーは絶品です。
サジャード・デラフルーズ アブー・ウスマーン役
アヌプリヤー・ゴーエンカ プールナ役
誘拐された看護婦のリーダー格プールナ役を好演。負傷したイスラム教過激派指導者の治療を任されたり、解放作戦でも重要な役割を担います。【Dishoom】(2016)、【Daddy】(2017)などに出演して特に最近活躍中で、【Padmavati】にも出演しているようです。
【Tiger Zinda Hai】ではイラクに派遣されていた看護婦のグループが誘拐されますが、これは2014年にイラクで起きたイスラム国(ISIS)によるインド人看護婦46人の誘拐事件に基づいています。このときは最終的に看護婦は全員解放されました。
ロケーションはインド、アブダビ、オーストリア、ギリシア、モロッコ。しかし、サルマーンとカトリーナにはインドのシーンはありません。
【Tiger Zinda Hai】
ミッションものアクション映画が好きという人、サルマーン大好きという人、カトリーナのアクションはぜひ見たいという人、おすすめです。
by madanaibolly
| 2017-12-30 15:52
| レビュー