【Jab Harry Met Sejal】 |
出演:シャールク・カーン、アヌシュカー・シャルマー、エヴェリン・シャルマー、チャンダン・ローイ・サニヤール
トレイラー
ストーリー
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ヨーロッパに住むハリーことハリンデル(シャールク・カーン)は女性宅を転々としながら観光ガイドとして生計を立てる暮らしを送っていた。
あるときグジャラートからやってきたグループのガイドを務め、無事帰路に着かせたと思ったら、グループのうちの一人の女性が飛行機に乗らずに戻ってきた。女性はセージャル(アヌシュカー・シャルマー)。ツアー中どこかで大切な婚約指輪を失くしたので、訪れた場所をもう一度巡って一緒に指輪をさがしてほしいという。最初ハリーは断るが、セージャルはガイド料も払うし、それでも断るならばガイドのエージェントにクレームを入れると脅す。結局ハリーはしぶしぶセージャルと指輪を探す旅に出ることに同意する。
ハリーとセージャルのヨーロッパの街を巡る旅が始まった。旅を続けるうちに二人の関係は・・・
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シャールク・カーン主演作。公開作では今年1月の【Raees】(2017)以来なので最近のトップスター主演作としては比較的間隔は短いほうです(【Raees】の公開が遅れたこともありますが)。
共演はヒロインとしてアヌシュカー・シャルマー。シャールクとアヌシュカーはアヌシュカーのデビュー作【Rab Ne Bana Di Jodi】(2008)、【Jab Tak Hai Jaan】(2012)に続いて3作目の共演。シャールク作品と3作で共演しているのは最近の世代の女優ではディーピカーとアヌシュカーくらいです。
監督は「ラブロマンスの帝王」、【Jab We Met】(2007)、【Love Aaj Kal】(2009)のイムティヤーズ・アリー。ちょっと意外ですが、シャールク、アヌシュカーともにアリー監督作には初出演です。もちろんシャールクも俳優として「ラブロマンスの帝王」なので、【Jab Harry Met Sejal】は監督と俳優の「ラブロマンスの帝王」が初めてコンビを組んだ作品ということになります。またタイトル「Jab Harry Met Sejal(ハリーがセージャルと会ったとき)はあきらかに監督の代表作【Jab We Met】(私たちが会ったとき)を意識しています。
さて、【Jab Harry Met Sejal】はとてもシンプルなラブストーリーでした。ガイドのハリーと客のセージャルが失くした指輪を探してヨーロッパの街々を旅し、旅先でのハプニングを経てお互いに恋に落ちます。アリー監督お得意のロード・ムービーでもあり、この点は監督の【Jab We Met】と共通しています。
しかし、JHMSには【Jab We Met】にはあったストーリーの転換点がありません。作品の最初から最後まで旅であり、旅の終わりが話の(ほぼ)終わりになります。エピソードの連発で決して退屈はしませんが、ストーリーに厚みがない感じがするのは確かでしょう。
世間の評価はさておき、JHMSのシンプルさには新鮮さを感じました。昨今のボリウッドはラブストーリーが絶不調です。名監督や大手プロダクションによる【Ae Dil Hai Mushkil】(2016)、【Befikre】(2016)、【Meri Pyaari Bindu】(2016)がことごとくハズれ、健闘したのは【Badrinath Ki Dulhania】(2017)くらい。これらの作品は新奇さを狙うためか、「難解な愛」「自由な愛」「あいまいな愛」など複雑に、難しくなり過ぎてしまった気がします。
そうした中、これまで複雑な愛の物語を作ってきたイムティヤーズ・アリー監督が挑んだシンプルで真っ向勝負のラブストーリーJHMS。結果はといえば、シャールクはかっこいいし、アヌシュカーはかわいいしで、少なくともこの2人を見たい人には十分満足の行くものになっています。観客は気楽に楽しんで、シャールクとアヌシュカーの相性がどうだこうだと騒げばいいのです。
確かに観客動員もいまひとつ伸びなかったし、批評も良くありませんが、複雑になりすぎたボリウッドのラブストーリーのアンチテーゼとして。方向性としては間違っていなかったと思います。
音楽
音楽はプリータム。スーパー・ヒットは出ませんでしたが、全体に優れた曲ばかりで、シーンとしてもバラエティに富んでいます。
「Radha」
「パンジャーブの歌手がなぜあんな大声で歌うのか知ってるかい?」
「Beech Beech Mein」
ディスコ・ソング。
「Butterfly」
これはパンジャーブの農村が舞台。大人数によるダンスは圧巻。
シャールク・カーン ハリンデル「ハリー」・シン・ネヘラー役
「ロマンスの帝王」シャールクですが、最近はさすがにロマンス以外の作品が多く、本格的なラブストーリーはそれこそかつての「ロマンスの帝王監督」ヤシュ・チョープラー監督【Jab Tak Hai Jaan】(2012)にさかのぼらなければならないかもしれません(【Dilwale】(2015)、【Happy New Year】(2014)、【Chennai Express】(2013)をどう考えるかはお任せします)。しかし、本作を観るかぎり「ロマンスの帝王」は健在。いろいろ言う人は無視してこの路線で押してもいいのではないでしょうか。
アヌシュカー・シャルマー セージャル役
シャールクとは3回目の共演のアヌシュカー。単にシャールクの相手としてではなく、自ら個性を発揮する役であり、演技でした。特にコメディ部分ではシャールクよりも役割が大きかったと思います。一緒に旅行するならこんなに楽しい子はいないという感じだし、めちゃめちゃかわいいし、次々に変わる旅先での衣装も素敵でした(どんだけ荷物持って旅してるんだ、というのはさておき)。
ほかに、エヴェリン・シャルマーがハリーの友人の結婚相手役で出演。
前半にセージャルがハリーに名前の意味を説明しようとするものの、説明させてもらえないというシーンがあります。その後もセージャルの名前を表す手の動作が出てきますが、結局一度もはっきりと意味をいうシーンはありませんでした。調べてみると「Sejal」は女性の名前で、「川の水」、「流れる水」を表し、そこから「純粋さ」や「人格の深み」などのニュアンスもあるそうです。
ミニ・トレイラー「Sejal Ka Matlab(セージャルの意味)」
JHMSの海外ロケはオランダ、チェコ、ハンガリー、ポルトガル。【Ae Dil Hai Mushkil】(2016)もヨーロッパの複数の国でのロケでした。今や海外の複数の国でのロケは当たり前になったのでしょうか。
【Jab Harry Met Sejal】
シャールクはやっぱりラブストーリーという人、最近の恋愛モノに不満だった人、予想はできてもやはり旅と恋の結末が気になる人、おすすめです。