【Raabta】 |
出演:スシャーント・シン・ラージプート、クリティ・サノーン、ジム・サルブ、ディーピカー・パードゥコーン(アイテム・ソング出演)
トレイラー
ストーリー
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パンジャーブ出身のシヴ(スシャーント・シン・シャルマー)は仕事で友人のラーダ(ヴァルン・シャルマー)とともにハンガリーのブダペストで赴任する。プレイボーイのシヴは早速現地で恋人を作るが、偶然店に入ったチョコレート職人のサイラ(クリティ・サノーン)との出会いは理屈を超えた運命的なものだった。二人は急速に惹かれあっていく。
そのころサイラは毎晩見る悪夢に悩まされていた。悪夢はおぼろげながら、はるか昔の出来事で、大切な人を失い、自らは水の中で溺れる感覚を残し、汗びっしょりになって目覚めるのだった。
シヴとサイラはハンガリーを訪れた酒造業の大立者ザーキル(ジム・サルブ)と出会う。サイラはザーキルにも何か運命的なものを感じる。シヴが仕事で数日間ブダペストを離れたあと戻ってみるとサイラが行方不明になっていた。
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スシャーント・シン・ラージプートと、【Heropanti】(2014)でヒンディー映画デビューしたクリティ・サノーン出演のロマンティック・スリラー・アドベンチャー映画。現在と過去が交錯する時間超越ストーリーです。
監督のディネーシュ・ヴィジャンは【Love Aaj Kal】(2009)、【Cocktail】(2012)、【Go Goa Gone】(2013)、最近ではイルファーン主演【Hindi Medium】(2017)など数々の作品でプロデューサーを務めていますが、監督としては初作品です。
タイトルの「Raabta」はアラビア語起源のウルドゥー語で、「関係」とか「つながり」といった意味です。ヒンディー語なら「rishta」でしょうか。しかし、本作の場合にはヴィジャン監督のプロデュース作品【Agent Vinod】(2012)の挿入歌「Raabta」から連想を得ており、同曲のカバーがなんとディーピカー・パードゥコーンのアイテム出演で使われています。
本作は当初、テルグ映画でラージャマウリ監督のヒット作【Magadheera】(2009)のリメイクと言われていましたが、【Magadheera】側から盗作だと訴えられていたというのが真相です。結局、裁判所は盗作については無罪との判決を下しています。
前半は美しいブダペストの街を舞台に展開するシヴ(スシャーント・シン・ラージプート)とサイラ(クリティ・サノーン)のラブ・ストーリー。出会った瞬間から激しく惹かれ合うのは単に相性がいいというのではなく、過去の何かが関係しているのだということがほのめかされます。さらにやはり2人と運命的なつながりのある謎の男ザーキル(ジム・サルブ)が現れ・・・となかなかいいです。
しかし、ストーリーが進んでいくなかで過去部分が明らかにされるペースが遅いです。サイラの悪夢などでフラッシュバック的に見せられるだけで、過去に何が起きたのかが明らかになるのには観客はかなり待たなければなりません。しかも、散々待たされた挙句に後半で展開する過去部分が素晴らしければ問題ないのでしょうが、予算が足りなかったのかと思うほど地味。盗作疑惑のあった【Magadheera】と比較するのは【Magadheera】に失礼なくらいでした。
スシャーントとクリティの2人は絵になるし、ヨーロッパ・ロケやディーピカーのアイテム・ソングなどを取り入れて、見た目には良い作品になっています。しかし、肝心のストーリーはというと、構想の大きさに比べて中身が薄い印象です。結構期待値が高かった分、残念な結果でした。眺めるつもりで観るのがいいかもしれません。
音楽
音楽はプリータムが中心。タイトル・ソングをカバー曲にするという大胆な試みですが結果的には成功。作品の一番の話題になりました。他の曲も含めて音楽はなかなかよかったです。
「Ik Vaari Aa」
作曲プリータム、作詞アミターブ・バッタチャリヤ、歌アリジート・シンという現在のボリウッドのヒット・ソング・メーカー・トリオ。
「Main Tera Boyfriend」
プロモ・ソングですが、2人とも踊れるところを見せています。
「Raabta」
タイトル・ソングにしてディーピカー・パードゥコーンのアイテム・ソング。それにしても大胆な脚見せ、セクシーです。
【Agent Vinod】(2012)
「Raabta」
曲も素晴らしいですが、映像は一曲まるごと1ショットで撮影された絶品。じっくりご覧になってください。ディーピカー・パードゥコーンのアイテム・ソングは珍しく、これまで【Billu】(2009)の「Love Mera Hit Hit」、【Dum Maaro Dum】(2011)の「Dum Maaro Dum」くらい。
スシャーント・シン・ラージプート シヴ役
【Shuddh Desi Romance】(2013)、【M.S. Dhoni - The Untold Story】(2016)ではそれぞれヒロイン2人を相手にするし、【PK】(2014)でも恋人役。そんなわけで前半のブダペストを舞台にしたラブストーリー部分はほぼ完璧。しかし、本人の演技とはかかわりなく、過去部分については作りそのものが悪いうえ、なんとなくヘンなキャラ設定になっており、スシャーントにとっては不運な出来の作品。
クリティ・サノーン サイラ役
【Dilwale】(2015)は大作への抜擢と言われつつも、役の中身はほとんどなく、おまけにヴァルン・ダワン相手になんとなくゴツく見えてしまいました。ところが、今回は作品の前半部分のオシャレなラブストーリー部分ではかなりいい感じでした。今後もゴージャス系であれば間違いなさそうです。次作は【Nil Battey Sannata】(2016)のアシュヴィニ・アイヤー・ティワーリー監督によるドラマ【Barelly Ki Barfi】で、演技力が試されそうです。
ジム・サルブ ザーキル役
【Neerja】(2016)でソーナム・カプール演じるニールジャーをネチネチといたぶるイカれたテロリスト役といえばわかるでしょうか。今回は悪役ながら裕福な実業家の役。
ラージクマール・ラーオがこんなヘンなメイクでゲスト出演(過去篇で村の長老役)。そもそも知らなければ気が付きません。
【Raabta】の海外ロケはハンガリー。前半のラブストーリーは首都ブダペスト。後半はブダペストを飛び出し、地方都市タタの古城がロケに使われています。ボリウッドは東欧ロケ・ブームで、ハンガリーは最近では【Force 2】(2016)のロケが行われています。
【Raabta】
スシャーントとクリティのラブストーリーを楽しみたい人、ハンガリー観光気分にひたりたい人、輪廻モノならなんでも好きという人、おすすめです。