【Rock On 2】 |
監督:シュジャート・サウダガル Shujaat Saudagar
出演:ファルハーン・アクタル、アルジュン・ラームパール、シュラッダー・カプール、プラーチー・デーサーイー、プーラブ・コーホリー、シャシャンク・アローラー
トレイラー
ストーリー
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「Magik」再結成、そしてロブの死からもすでにかなりの年月が流れた。ジョー・マスカレーナス(アルジュン・ラームパール)はライブハウス経営など実業家として成功、ケーダル(プーラブ・コーホリー)は気ままに音楽活動を続けている。だが、そこにアーディティヤ(ファルハーン・アクタル)の姿はなかった。ある出来事をきっかけに音楽活動を止め、今はメガラヤ州で現地の人たちと農園を作って暮らしている。
アーディティヤは農園を襲った火災により、傷心のままムンバイに戻り、ジョーたちの勧めで音楽活動を再開する。そんなときアーディティヤはメガラヤで出会った音楽家のジア(シュラッダー・カプール)と再会する。類まれな声を持つジアに、アーディティヤは新生「Magic」の可能性を見出す。だが、ジアにはどうしてもステージで演奏できない心の傷があった。そしてその原因は、かつてアーディティヤが音楽を離れることになった「出来事」とも関係していた。
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【Dil Chata Hai】(2001)、【Don】(2006)などですでに監督して知られていたファルハーン・アクタルが俳優、歌手としてデビューしたのが【Rock On!】(2008)です。ロックを映画音楽として用いた斬新さと、その後のボリウッド映画のスタンダードを確立した素晴らしいステージ・シーン、ノスタルジーをかきたてるストーリーとでヒット作品になりました。
「Sindbad The Sailer」
【Rock On 2】は前作から数年後の設定という続編。前作の出演者はバンド「Magik」の中心であるファルハーン、アルジュン、プーラブが出演。さらに前作で死去したロブ役ルーク・ケニーが回想シーン(フィルムではなく新シーン)で登場するのを含め、バンド・メンバー以外もすべて連続出演しています。インド映画の「続編」は同じコンセプトに基づくシリーズ物という場合も多いのですが、本作は厳密な意味での続編です。ただし、監督は前作のアビシェーク・カプール(その後【Kai Po Che】(2013)、【Fitoor】(2016)を監督)から新人のシュジャート・サウダガルに交代、アビシェーク・カプールは脚本に専念しています。
さて、作品は「スマッシュ・ヒットの続編は当たりにくい」という法則にそのまま当てはまってしまったようです。もともとヒットすることを狙って出演者を豪華にして狙い通りにヒットした場合には続編は作りやすいですが、アイディア勝負が当たった作品はその斬新さを再現するのが難しいということでしょうか。もちろん、【Dhoom】や【Golmaal】など続編は豪華路線に切り替えて成功するシリーズもありますが。
【Rcok On 2】、確かにドラマとしてはとても丁寧に作られた印象でした。前作の出演者のその後をある重要なエピソードと絡めて描く一方、新たなにキャストに加わったシュラッダー演じるジアのストーリーと結びつけていきます。アーディティヤやジアが人生において立ち直り、彼らのバンド「Magik」も再々生に向かっていく、という具合で悪くはありません。
ところが前作の売りであったステージ・シーンが本作では盛り上がりませんでした。シャンカル=エフサーン=ローイにしては音楽の出来が良くなかったことは置くとして、ステージ・シーン自体のレベルが下がったようには見えませんでしたが、なぜでしょうか?おそらく、前作以降、【Rockstar】(2011)などのステージ・シーンで、もはやこのレベルが普通になってしまったからではないかと思います。
また、前作でファルハーンが自ら歌ったという斬新なアイディアが本作でも行われ、ファルハーンはもちろん、シュラッダーもすべて自ら歌っています。しかし、シュラッダー以外にもアーリヤー・バットやソーナークシー・シンハーなど出演者が歌うのが珍しくなくなった昨今では、かつてほどのインパクトは残せませんでした。
前作を観ている人はそれなりに楽しめると思います。
音楽
音楽シャンカル=エフサーン=ローイ、歌詞ジャーヴェド・アクタル(ファルハーンの父)は前作から変わらず。ただ、前作の曲に並ぶような曲はありませんでした。
「Rock On Revisited」
「Jaago」
回想シーン。
「Tere Mere Dil」
ファルハーン・アクタル アーディティヤ役
今回も主演にボーカルに、そつなくこなした印象。ただ、前作のときとは違い、最近ではファルハーンの多才は当然になっているので、やはり斬新さに欠けました。力を余したような感じです。
シュラッダー・カプール ジア役
本作まで出演作5作連続で歌っているシュラッダー。歌って踊れるマルチぶりを見せつけたのはむしろ彼女のほうでした。今後も【OK Jannuy】(タミル映画【O Kadhal Kanmani】(2016)のリメイク)、【Half Girlfriend】(チェータン・バガトの小説の映画化)など話題作への出演が続きます。
アルジュン・ラームパール ジョー・マスカレーナス役
前作ではファルハーン以上にストーリーの中心だったアルジュンですが、本作ではまったく脇に追いやられてしまい、目立ちませんでした。次の【Kahaani 2】に期待しましょう。
「Magik」のもう1人の新規メンバー、ベースのウダイを演じるシャシャンク・アローラーは、カンヌ映画祭上映作として話題になった【Titli】(2015)で注目されました。、また、アーディティヤとジョーのそれぞれの妻役であるプラーチー・デーサーイーとシャハーナー・ゴースワーミーもちゃんと出演しています。
本作の重要なロケ地はメガラヤ州。州都シーロンの周辺の美しい風景が映っています。
本作が公開された2016年11月11日の直線の8日夜に、9日から500ルピーおよび1,000ルピーの流通停止が発表されました。市中の現金不足と人々が危機感から現金の節約に努めたことにより、公開直後に本作を現金で支払って(オンライン予約以外で)劇場で観た人は極端に少なかったと思われます。作品にとっては大変な不運でした。
【Rock On 2】
前作を観ている人、シュラッダー・カプールのファンの人、メガラヤ州ロケに関心がある人、おすすめです。