2016年 08月 19日
【Dishoom】 |
出演:ヴァルン・ダワン、ジョン・エイブラハム、ジャクリーン・フェルナンデス、アクシャイ・カンナー、サーキブ・サリーム
トレイラー
ストーリー
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とある中東の国で開催されているクリケットの世界大会。インド代表はトップ選手ヴィラージ・シャルマー(サーキブ・サリーム)の活躍で決勝まで勝ち進んだ。決勝の相手はライバルのパキスタン。だが決勝戦の前夜、ヴィラージが行方不明になる。ヴィラージを誘拐したという男はインド政府に身代金を要求し、支払われない場合や決勝戦を中止する場合にはヴィラージを殺害すると予告した。
事件の解決のためインド政府が派遣したのは腕利きだが型破りの刑事カビール(ジョン・エイブラハム)。現地の警察が通訳兼案内として付けたのは新米刑事のジュナイド(ヴァルン・ダワン)。二人は捜査を進め、謎の女スリのイシカー(ジャクリーン・フェルナンデス)らの協力を得ながら事件の核心に近づいていく。だが、刻々と迫る決勝戦の開始時間。二人はヴィラージを無事に救出できるのか?
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最近のボリウッドのアクション映画やスリラー映画は明確にジャンルを絞り、いわゆる「ガチな」アクションやスリラーになる傾向がありますが、本作はいろいろとごちゃ混ぜな「マサーラー・アクション」の典型です。
監督はローヒト・ダワン。「コメディ・キング」と呼ばれたダヴィド・ダワン監督の息子です。監督デビューの前作【Desi Boyz】(2011)は全体としての出来はそこそこのドラマながら、主演のアクシャイ・クマールとジョン・エイブラハムによる王道バディ・ムービー(男の友情映画)として注目されました。監督2作目となる本作はジャンルこそ違いますが、バディ・ムービー路線は踏襲、というよりも強化されています。
主演は【Desi Boyz】に続いてジョン・エイブラハム、監督のローヒト・ダワンの弟ヴァルン・ダワン、ヒロインには今年出演が多いジャクリーン・フェルナンデス。そして、サプライズは【Taal】(1999)、【Dil Chahta Hai】(2001)、【Race】(2008)などで活躍したアクシャイ・カンナーが、大作としては【Tees Maar Khan】(2010)以来の出演です。
【Dishoom】は冒頭にも書いたとおり、すべてを詰め込んだマサーラー・アクションです。確かにクリケットのトップ選手を大事な試合の前に誘拐するというスリラーとしての筋はありますが、それだけで見ると大したことはありません。主人公の2人組の掛け合いを楽しみ、ジャクリーンのダンス・シーンを楽しむという作品です。ローヒト・ダワン監督は父ダヴィド・ダワンの影響なのかちょっと感性は古い気がしますが、そのかわりキャリアは浅いにもかかわらず、職人風の手堅い作品を作ってきます。スリラー、アクションの作風は【Race】(2008)のアッバース=ムスタン監督に似ています。
アクション・シーンは、オートバイが空を飛んでいると思わせるほどの爆破シーンが目立っていましたが、全体としてはアクション自体がさほど目立つ作品ではありませんでした。あくまでマサーラーの一要素にすぎません。
やはり注目はジョン・エイブラハムとヴァルン・ダワンの不釣り合いなコンビ。一匹狼のジョンとそれに付き従う感じのヴァルンでしたが、ヴァルンが上手く弟分を演じたのが良かったと思います。ヴァルンは自分でも主役を張れる一方で、【Dilawale】(2015)ではシャールク・カーンの弟分を演じており、なかなか器用なところを見せています。
特に頭抜けてすごいものがあるわけではありませんが、サービス精神旺盛な作りで、なんとなく最後まで観てしまうという作品です。ですから、肩の力を抜いてなんとなく最後まで観るのがいいと思います。
音楽
音楽はプリータム。ノリはいいですが、ヒット性の曲はありません。監督の前作【Desi Boyz】でも音楽を担当しており、そこから「Subha Hone Na De」を持ってきています。いちおう理由のある使い回しでした。
「Sau Tarah Ke」
アディティ・シン・シャルマーのパワフルな歌声とジャクリーンのダンスで成功。
「Jaaneman Aah」
パリニーティ・チョープラーがゲスト出演。ダイエットに成功したパリニーティが映画に先駆けてお披露目しています。
「Toh Dishoom」
プロモ・ソング。
ジョン・エイブラハム カビール役
感情のない戦闘マシンのような感じで登場して、物語が進むと実はけっこう人間味が奴だとわかる、みたいな役が増えているような気がします。今年の【Rocky Handsome】(2016)もそうでした。本作もヴァルン・ダワンという相手役を得て、そうした感じの役柄でした。
ヴァルン・ダワン ジュナイド役
刑事の付き添い役ですが、本作の実際の主人公はヴァルン。もちろん兄であるローヒト監督がそのように作ったのでしょうが、最初はおっかないジョン演じるカビール刑事にも物怖じせずに近づいていくジュナイド。ヴァルンの俳優としての器用さがよく表れています。
ジャクリーン・フェルナンデス イシカー役
最近よく働いています。健全なセクシーで、演技も踊りも問題なくできるというところで、監督としては使いやすい女優なのでしょう。今回は主演男優2人のいずれとも深い恋愛の絡みもなくお飾りという印象。
アクシャイ・カンナー ラーフル役
トレイラーで見てあっと驚いたのがこの人。【Tees Maar Khan】(2010)でおかしな役をやってからパタリと姿が見えなくなっていました(ほとんど注目されなかった小規模作品【Gali Gali Chor Hai】(2012)には出演)。さすがにこれからかつてのヒーロー路線は難しいでしょうが、良い俳優であることは間違いないので今後に期待します。
誘拐されるクリケット選手に【Hawaa Hawaai】(2014)のサーキブ・サリーム、サブ悪役にスタイリッシュな悪役俳優ラーフル・デーヴと脇役にまでかなりの人を使っていて、この辺りも「意外と良く出来た」作品になっている理由かもしれません。また、ゲスト出演はアクシャイ・クマール、パリニーティ・チョープラー、ナルギス・ファクリーと超豪華。
ナルギスはさすがのモデル・ボディを、パリニーティはダイエットの成果を見せつけに来たようなので・・・・..見てあげましょう。
【Dishoom】
男の友情物が好きな人、久々復帰のアクシャイ・カンナーを見たい人、ちょっと古風なマサーラー・アクションを楽しみたい人、おすすめです。
by madanaibolly
| 2016-08-19 03:34
| レビュー