【All Is Well】 |
監督:ウメーシュ・シュクラ Umesh Shukla
出演:アビシェーク・バッチャン、アシン、リシ・カプール、スプリヤー・パータク、モハンマド・ズィーシャン・アユーブ、ソーナークシー・シンハー(アイテム出演)
トレイラー
ストーリー
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タイのバンコクで活躍する歌手のインデル(アビシェーク・バッチャン)に父バジュラングラール(リシ・カプール)から連絡が来た。インデルに財産を譲るというもので、そのためにはインドに帰国して、書類に署名しなければならないというものだった。インデルは躊躇する。父とは対立して家を飛び出して以来会っていないからだった。だが、煮え切らない関係の恋人ニンミー(アシン)が結婚のためインドに戻るということもあり、帰国を決心する。
だが、帰国してみると事態はまったく予想と違っていた。悪徳弁護士のチーマ(モハンマド・ズィーシャン・アユーブ)が借金のカタにバジュラングラールから財産を取り上げるためにインデルの署名が必要というものだった。結局、署名を強要するチーマから、インデルは父、母(スプリヤー・パータク)、そしてニンミーと一緒に逃げるはめに。
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神様を訴えて裁判を起こすという奇抜な発想の【OMG - Oh My God】(2012)がヒットとなったウメーシュ・シュクラ監督の新作。社会風刺だった前作とは異なり、本作は父と息子の葛藤を背景にした家族ドラマです。出演はアビシェーク・バッチャン、リシ・カプール。それから映画出演は久々のアシン。
作品のジャンルの違いがあるとはいえ、これが【OMG】を作った監督の作品かと思ってしまう出来でした。とにかくストーリーが平凡でみどころがありません。
父と息子の対立も、男が結婚に逃げ腰なため女に別の結婚話がというのもよくある話ですが、それ自体は悪いわけではありません。問題はその描き方や使い方。リシ・カプールとアビシェークの父子は、そもそもなぜそんなに対立しているのかがよくわからないし(父がただひどいだけ?)、また、思わぬことから一緒に旅することになり、それが和解のきっかけになるというストーリーの核も上手くできているとは言えず、また少しも面白くありません。
アビシェークとアシンの二人の関係も同様。もうすぐ終わるはずだった二人の関係が旅の間に変化するところを見せなければならないはずが、そうはなりません。結局、二人の関係は最後はすごくくだらないやり方で決着が付きます。途中がもっと上手く描けていれば、くだらないオチでも気にならなかったのでしょうが、もう手抜きにしか見えません。
少し偏見を交えていうと、アビシェークが外国で活動する歌手という設定の時点でもうダメ。ストーリーからいうと歌手でなくても成り立つのにあえて歌手。金があっては困る設定なので社長とかはいけませんが、なんかほかにあっただろうにと思います。
ドジな悪徳弁護士とそのマヌケな部下たちに追い回されるというところからも、基本はコメディですが、さほど面白くありません。かといって純粋な家族ドラマでもなく、すべてが中途半端でした。タイトルが某傑作映画の挿入歌から取ってきたような感じで、なんとなくイヤな予感はあったのですが、ここまでがっかりとは予想していませんでした。
傑作を作った監督でも、続けて良作を作るのがいかに難しいかがよくわかりました。
音楽
「Chaar Shanivaar」
「Baaton Ko Teri」
アリジート・シンの歌でまあ無難に。列車はカルカ~シムラー鉄道。
「Nachan Farrate」
ソーナークシー・シンハー。大胆に太もも見せて、なかなかいいです。
アビシェーク・バッチャン インデル役
【Happy New Year】(2014)ではなかなか良かったのに、ふつうで真面目な役だとどうしてダメなのでしょうか。ストーリーや設定の甘さはあるにしても、父との葛藤やほかの男と結婚しようとしている恋人への想いなど、ちっとも伝わってきません。歌手らしくもありません。微妙な表現の演技よりも、アクションやコメディで極端な役をやるほうがいいのでしょう。
リシ・カプール バジュラングラール役
大ベテラン俳優にこんなことを言うのはなんですが、ときどきどうしてそんなに力んだ演技をするのかなあと思うことがあります。今回も最初に付け入るスキのない超頑固なひねくれ者になってしまい、もう作品中での回復は不可能というパターン。それを最後で強引にひっくり返すためにストーリーが損なわれてしまいます。悪役のときも含め、抑えた演技をするととてもいい味が出るのを知っているだけに残念。
アシン ニンミー役
ヒンディー映画では【Khiladi 786】(2012)以来、特にこれといった理由もなく(明かされず)スクリーンから遠ざかっていたアシン。久々の出演作が発表されたかと思ったら、ゴシップ誌には、インド最大の携帯電話会社マイクロマックスの共同創業者ラーフル・シャルマ氏との婚約のニュース。おそらく本作が見納めになりそうな感じです。
アシンの(泣き顔)見納めということで記念に観るか、ソーナークシーの太もも目当てで観るか、それぐらいしかない作品でした。
【All Is Well】
アシンの(泣き顔)見納めを逃したくない人、ソーナークシーのダンス(太もも)が観たい人、歌手のアビシェークに耐えられる人、おすすめです。