【Welcome 2 Karachi】 |
監督:アシーシュ・R・モーハン Ashish R. Mohan
出演:アルシャド・ワールシー、ジャッキー・バグナーニー、ローレン・ゴットリープ、ディリープ・ターヒル
トレイラー
ストーリー
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軍法会議にかけられ退役した海軍兵士のシャミ(アルシャド・ワールシー)、エンジニアでアメリカ行きのビザを何度も発行拒否されているケーダル(ジャッキー・バグナーニー)。二人はヨットでアメリカに密入国することを決心し、インドを出発する。だが、海上で大シケに遭い、カラチの海岸に打ち上げられる。バスポートも、ビザも、金もなし。
ケーダルは国際電話で父(ディリープ・ターヒル)に助けを求めるが、本気にしてもらえず、あえなく電話を切られてしまう。そのうちにパキスタン情報部の腕利き局員(ローレン・ゴットリープ)たちに追いかけられるハメに。二人はなんとかインドとの国境に向かうが・・・
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インドとパキスタンは戦争までした仲が悪い隣国同士。インドがパキスタンをコメディ映画のネタにするのは、一歩間違えば文字通り洒落になりません。【Welcome 2 Karachi】はそんなパキスタン・コメディに勇敢にも(無謀にも)挑んでいます。
監督のアシーシュ・R・モーハンはアクシャイ・クマール主演【Khiladi 786】(2012)でデビュー、本作は2作目です。主演はコメディ俳優アルシャド・ワールシー、共演は【Youngistaan】(2014)のジャッキー・バグナーニー、【ABCD Any Body Can Dance】(2013)に出演のアメリカ人ダンサーのローレン・ゴットリープ。脚本は【Golmaal】シリーズなどに出演のコメディ俳優のヴラジェーシュ・ヒルジー。
さて、作品ですが、アルシャド・ワールシー主演ということで思い切り笑えるコメディか、またはインド-パキスタン関係というセンシティブなテーマにギリギリまで突っ込む毒の強いコメディを期待したのですが、そのいずれでもありませんでした。あまりセンスの感じられないドタバタでした。
ストーリーでは運命のいたずらでパキスタンに流された二人が、さらに運命であちこちを転々とするのですが、次に進む展開があまりに思い付きでつなげたようで、ちっともストーリーが進んでいる感じがしません。最初にタリバンの本拠地に連れていかれてしまうところくらいまではまずまず笑えましたが、その後は同じような感じの繰り返しで飽きてしまいます。パキスタン側の登場人物も(特に制作者の悪意は感じませんでしたが)、アメリカ人も(こっちには悪意が・・・)もバカばかり。
制作者の本気度が感じられない気の抜けたコメディでした。
音楽
作品中ではパキスタンの情報局員役のローレン・ゴットリープが音楽シーンでは得意の踊りを披露。ストーリー上ではさほど意味はないのですが、いちおうみどころにはなっていました。
「Lalla Lalla Lori」
飲酒を促すとして訴えられてましたが・・・。
「Shakira」
ローレンはしっかりとパキスタン女性の服装規定を守った情報局員の役でしたが、なんでこんなことになるかというと・・・それは作品を観てください。
「Mera Yaar Funtastic」
面白い。プロモ曲で本編には出てきません。ローレン・ゴットリープ、これを見ると、ただ踊れるだけじゃなくて、インド映画的なセンスもあることがわかります。
アルシャド・ワールシー シャミ役
真面目にやってもコメディになってしまうところが面白いアルシャド。真面目にやって真面目に見えてしまうと冴えません。本作はボケはジャッキーがやってしまっているのでツッコミ役になるはずですが、コンビとしては息が合っていませんでした。
ジャッキー・バグナーニー ケーダル役
【Youngistaan】(2014)で失敗してヒーローは諦めたのか、今回はコメディ路線。基本的にはこちらのほうが似合いますが、今回はちょっとバカ度が強すぎた気がします。最後は少しはカッコよくなるとか、いい奴になるとかがなくて、バカのまま終わってしまった感じ。
ローレン・ゴットリープ パキスタン情報局員役
パキスタン人役!でも、このレベルのコメディ作品なのでまあオーケーでした。出番は飛び飛びで、全体としてもさほど多くありません。どうせならもう少し見たかった気がします。【Detective Byomkesh Bakshy!】(2015)の「Calcutta Kiss」、本作、そしてこれから【ABCD Any Body Can Dance 2】と今年は活躍しています。
ボリウッドでパキスタンが出てくる作品というと、たいていはインド-パキスタンの国境を描く国境ものが主流。最近では、
【War Chod Na Yaar】(2013)
【Kya Dilli Kya Lahore】(2014)
【Jai Ho! Democracy】(2015)
などがあります。その中で、パキスタン領にまで行ってしまう本作はある意味で非常に貴重なのですが・・・。
もしかするとユーモアのセンスが合うという人がいないとは限りませんが、たいていの人には外したコメディだと思います。見流す程度に。
【Welcome 2 Karachi】
ローレン・ゴットリープのパキスタン人役を見てみたい人、本当にパキスタンっぽいのか確認したい人、ジャッキーはおバカ役のほうが似合うと思う人、おすすめです。