【Bang Bang!】 |
監督:シッダールト・アーナンド Siddharth Anand 出演:リティク・ローシャン、カトリーナ・カイフ、ダニー・デンゾンパ、ジャーヴェード・ジャーフリー、ジミー・シャーギル、ディープティー・ナヴァル
ティーザー
トレイラー
ストーリー
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ロンドン。市の観光名所の1つでもあるロンドン塔から英国女王の王冠を飾るインド原産のダイヤモンド「コーイヌール」が何者かによって盗まれた。監視カメラに映っていた犯人とみられる男は世界的に知られる大泥棒のラージヴィール(リティク・ローシャン)だと判明した。各国の警察が必死にラージヴィールの行方を追うなか、ラージヴィールがインドのシムラで国際的テロリストのオマル・ザファル(ダニー・デンゾンパ)の一味と「コーイヌール」の取引をしようとしたが失敗に終わったことがわかる。
シムラの銀行で働くハーリーン(カトリーナ・カイフ)は結婚紹介サイトで紹介された男性ヴィッキーと初めてのデート。約束のカフェに現れた男性はハンサムで、ハーリーンは素晴らしい時を過ごす。しかし、その男性はヴィッキーではなかった!
翌日、ハーリーンが働く銀行に警察が現れ、ハーリーンを国際的大泥棒のラージヴィールと接触したと理由で連行する。だが、連行の途中、ハーリーンは現れたラージヴィールに助け出される。ラージヴィールとハーリーンの世界を又に駆けた逃避行が始まった。
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トム・クルーズとキャメロン・ディアスが共演したハリウッドのアクション映画【Knight and Day】(2010)(『ナイト&デイ』)のリメイク。【Bang Bang!】では2人の役をそれぞれリティク・ローシャンとカトリーナ・カイフが演じています。リティクとカトリーナは【Zindagi Na Milegi Dobara】(2011)で共演し、そのラブシーンが話題になりました。今作で本格的にケミストリー誕生なるかというところ。
監督のシッダールト・アーナンドは最近では【Bachna Ae Haseeno】(2008)、【Anjaana Anjaani】(2010)などを撮っています。
作品はリメイクといってもストーリーなどにはかなりの変更が加えられており、おそらくオリジナルを観た人でも言われないと気づかないかもしれません。たとえばオリジナルは冒頭の飛行機のシーンが印象的ですが、【Bang Bang!】にはありません。ごく普通の女性が国際的な大事件に巻き込まれてしまうところや、ラージヴィールがハーリーンに睡眠薬を盛るところ、その他さほど重要でないエピソードなどが取り入れられていますが、綿密なリメイクではありません。ただ、主人公ラージヴィールの両親がらみのエピソードが入れられるところ(オリジナルにあったかどうか覚えていません)は、いかにもインド映画だという気がしました。
【Bang Bang!】、はっきり言って内容はありません。アクション映画だということを考慮しても内容がない部類に入るのではないかと思います。アクション・シーンと小さなエピソードの連続で、それも積み重なっていくというよりも、どんどん流れて去っていくという感じです。
【Bang Bang!】はリティク、カトリーナ、そして2人のカップルぶり、すなわちケミストリーを楽しむ作品です。その目的のため、世界各地でのロケ・シーン、派手なアクション、ゴージャスなダンス・シーンがあるのだといっても過言ではありません。そして、2人がケミストリーであることも間違いなさそうです。
音楽
音楽はヴィシャル-シェーカル。
「Bang Bang!」 歌:ベニー・ダヤル、ニーティ・モーハン
今作のベスト・ダンスソング。
「Tu Meri」
「Meherbaan」
ギリシア・ロケのリゾート・ソング。どこか【Ek Tha Tiger】(2012)の「Laapata」に雰囲気が似ています。
リティク・ローシャン 国際的大泥棒のラージヴィール役
超人的なスーパー・ヒーローのクリーシュまでやってしまったリティクですからヒーローには慣れっこですが、むしろ前半のワルっぽい感じがなかなか良かったです。「この野郎!」みたいな感じでバズーカをぶっ放すところや、平気な顔でカトリーナに睡眠薬を盛るところなどは、いつもの真面目なリティクと違っていました。カトリーナと相性がいいのは、筋肉をひけらかしたり、超人的なダンスをしても、カトリーナのセクシーさのため、1人だけでやっている感じがしないからでしょうか。
カトリーナ・カイフ 銀行員のハーリーン役
「こんな銀行員いないよ」というのは抜きにして、ちょっと前までのハリウッドの「足手まとい」タイプのヒロイン役がばっちりできていました。それから、水着もキス・シーンもNGだったはずのカトリーナですが、最近は変わってきました。今作もリティク相手ならOKといった感じでした。
ダニー・デンゾンパ テロリストの首領オマル・ザファル役
【Enthiran / Robot】(2010)で悪役をやり、今作も国際的テロリスト・グループの首領と、悪役俳優としての健在ぶりを示しました。
その他、ジミー・シャーギルが一時オマルを追い詰める大佐役、ジャーヴェード・ジャーフリーがオマル配下の中ボス役。ディープティー・ナヴァルがラージヴィールの母役で出演しています。
最近のボリウッド映画の大作は、まず最初に「ティーザー(じらし)」と呼ばれる短い予告編が発表され、その後予告編(トレイラー)が発表されます(さらにこれがトレイラーとより長編シアトリカル・トレイラーにわかれることも)。ところが、【Bang Bang!】、最初にティーザーが発表された後、待てど暮らせどトレイラーが発表されません。ようやく発表されたのは公開のわずか1週間ばかり前。しかも、あまり出来がいいとは言えないものでした。いったい何だったのでしょう。
作品中で盗まれるダイヤモンド「コーイヌール (Koh-i-Noor)」は実在。インド原産で、かつては世界最大のダイヤモンドでした。名称は「光の山」の意。イギリスのインド植民地時代にヴィクトリア女王(大反乱以降はインドの女王でもありました)に献上され、それ以降、英国女王の王冠を飾っています。現在インドは英国に返還を求めています。作品中でも、そんな「コーイヌール」をインドに持ち帰ったラージヴィールが、インドでは英雄視されるというシーンが出てきます。
リティクとカトリーナを見るための作品で、アクションや音楽シーンはしっかりしています。それ以上を期待しない人であれば十分に楽しめると思います。
【Bang Bang!】
リティクとカトリーナの相性を見てみたい人、リティクとカトリーナのゴージャスなダンスを楽しみたい人、お勧めです。