【Dedh Ishqiya】 |
監督:アビシェーク・チョウベー Abhishek Chaubey 出演:アルシャド・ワールシー、ナスィールッディーン・シャー、マードゥリー・ディークシト、フマー・クレーシー、ヴィジャイ・ラーズ
トレイラー
ストーリー
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カルージャン(ナスィールッディーン・シャー)とバッバン(アルシャド・ワールシー)の泥棒2人組。とある宝石店で試みた盗みに失敗し、カルージャンは警官に撃たれて負傷、2人は生き別れになってしまった。
1人になったバッバンは娼家でテレビを見て驚いた。カルージャンがナワーブになりすまし、マフムダーバードで開かれる詩の朗誦大会に参加しようとしていたのだ。カルージャンの目的は大会の主催者であるマフムダーバードのベガム・パーラー(マードゥリー・ディークシト)に近づき、ベガムが所有する莫大な財宝を持ち去ろうというのだ。バッバルはマフムダーバードに駆けつけ、カルージャンの従者としてベガムの屋敷に出入りするようになる。バッバルはベガムの侍女ムニヤー(フマー・クレーシー)に言い寄る。
ベガムもカルージャンのことを気に入り、2人の計画は順調に行っているようにみえた。だが、同じくベガムと結婚してナワーブになろうとしているギャングのジャーン・ムハンマド(ヴィジャイ・ラーズ)が絡み、状況は複雑に。さらにベガムにも秘密があった。
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妖しく美しい独特の雰囲気を持った【Ishqiya】(2010)の続編。制作・音楽のヴィシャール・バルドワジ、監督のアビシェーク・チョーベーはそのままです。主演のナスィールッディーン・シャー、アルシャド・ワールシーはそのまま。ヒロインはヴィディヤー・バーランからマードゥリーとフマー・クレーシーに代わっています。
ポポッポーのお気楽インド映画
【Ishqiya】
http://popoppoo.exblog.jp/12896609/
前作に続いて泥棒2人組が事件と恋愛に巻き込まれるという設定。タイトル「Ishqiya」の名のとおり官能性を漂わせる画面、濃密な雰囲気は変わらず。また、オッサン2人が恋愛で盛り上がってできゃっきゃと騒ぐところも同じです。
物語の舞台は変わっています。前作はインド-ネパール国境の危険地帯で、いかにも無法地帯といった感じの危ない雰囲気が漂っていました。今作はイスラム教徒の藩王であるナワーブが支配した旧藩王国の街マフムダーバードが舞台で、イスラム色が強く出ています。また、ウルドゥー詩の朗誦大会が行われたり、マードゥリーのダンス・シーンがあったりと文化的な香りも漂います。
前作にあって今作にないものは「異常さ」とか「狂気」といったものでしょう。無法地帯のピリピリした雰囲気のほか、仕事(泥棒ですが)仲間2人の間に突然美女が迷い込むことによって生じた微妙な三角関係の緊張感。ヴィディヤー・バーランの妖しい演技。今作は女性が2人になって2組のカップルが生じ、そうした緊張関係は解消されています。
一方、2人組の「計画」がまったく違った方向に向かっていくストーリーは今作のほうが凝っています。エンディングで暗示されるものはなかなか興味深いです。しかし、【Ishqiya】のエンディングは劇的にも映像的にも非常に優れたものだと思っているので、好みでエンディングは前作が上にしておきます。
前作との違いをいろいろ書きましたが、一般にカルト的な作品の続編は難しいことを考えると、シリーズの雰囲気を保ちつつ新しい要素も上手く取り入れ、十分に合格点の作品だと思います。
音楽
なんといってもマードゥリーのダンスが見ものです。
「Hamari Atariya」
とにかくマードゥリー
「Dil Ka Mizaaj Ishqiya」
「Horn OK Please」
オッサン2人。
ナスィールッディーン・シャー 泥棒のカルージャン役
名優ゆえ演技が素晴らしいのは言うまでもありませんが、今作ではナワーブになりすます必要から着る正装がびしっと決まっています。マードゥリーとの恋愛に大はしゃぎするところもオッサン好きには見どころ。
アルシャド・ワールシー 泥棒のバッバン役
いつものおちゃらけを残しつつも、ときどきすごい危険なところも見せるのが【Ishqiya】でのアルシャド。特に目がすごいです。昨年は【Jolly L.L.B.】(2013)もヒットして好調のアルシャド。今後もユニークなコメディ俳優として頑張ってほしいところです。
マードゥリー・ディークシト ベガムのパーラー役
マードゥリー、最近では【Yeh Jawaani Hai Deewani】(2013)の「Ghagra」の特別出演はありますが、主役級となると「復帰作」【Aaja Nachle】(2007)以来で、その前はあの【Devdas】(2002)なので、いかに映画に出演していなかったかがわかります。そうしたブランクにもかかわらず、ベガム役はほぼ完璧。得意のダンスでは相変わらず魅せます。完全復活といえるでしょう。今後、ジュヒー・チャーウラーとの初共演作【Gulaab Gang】も控えており、楽しみです。
フマー・クレーシー 侍女のムニヤー役
【Gangs of Wasseypur】(2012)でギャングの妻役でデビューして以来、どんな役をやっても色っぽいところを見せる(例外は短編集【Shorts】(2013)の地味な女性役)フマー。【Ishqiya】シリーズへの出演は頷けます(もっとも、この役最初はカンガナーだったそうです)。今作ではアルシャドと濃いカップル(?)になります。
ヴィジャイ・ラーズ ジャーン・ムハンマド役
脇役の名優を面白いところに使ってきたと感心しました。【Ishqiya】シリーズはコミカルとシリアスが微妙に入り混じるところが魅力の一つですが、アルシャドとともにこの人がそれを実現していました。ナワーブになりたがっているギャングというかなりおバカな役ですが、それでいてよく見るとなかなかカッコいいところもあります。
ところで、タイトルの「dedh」は「1.5」の意味。続編だから「2」ではないの?または、女性の登場人物が2人になったからやはり「2」ではないの?それとも「Ishqiya」1.5倍とやや謙遜?意味深なタイトルの意味を考えてみるのも面白いと思います。
作品の雰囲気を楽しむのもよし、出演者目当てで観るもよし、いろいろと楽しめる作品です。
【Dedh Ishqiya】
はしゃぐオジサンたちを見たい人、マードゥリーのダンスを見たい人、色っぽいフマーを見たい人、濃密な雰囲気とイスラムの香りを楽しみたい人、お勧めです。