【Fukrey】 |
監督:ムリグディープ・シン・ランバー Mrigdeep Singh Lamba 出演:プルキト・サムラート、マンジョート・シン、アリー・ファザル、ヴァルン・シャルマー、リチャ・チャッダー、プリヤー・アーナンド
トレイラー
ストーリー
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ハニー(プルキト・サムラート)とチューチャー(ヴァルン・シャルマー)はカレッジの親友同士。だが、揃って落ちこぼれで将来の見込みはなし。彼らの唯一の特技は、チューチャーが見た夢をハニーが解読して数字に直し、それで宝くじを買うと不思議とよく当たることだった。ちまちまと小金を賭けては小遣い稼ぎをしていた。
そんな2人だが、その頃ちょうど金に困っていたラリ(マンジョート・シン)とザファル(アリー・ファザル)を巻き込んで大勝負に出ることにする。もちろん、頼りはチューチャーの夢と宝くじだ。だが、肝心の元手がない。4人は、エスコート・クラブの女ボス、ボーリー(リチャ・チャッダー)に話を持ち掛け、なんとか金を出させることに成功する。
チューチャーは意気込んでベッドに入るが・・・
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ファルハーン・アクタルとリテーシュ・シドワーニーという【Zindagi Na Milegi Dobara】(2011)と同じコンビがプロデュースした作品。これだけでもハズシはしないだろうと思っていました。キャストはいずれもまださほど有名ではないものの、皆なにか光るものを持っている若手中心です。リチャ・チャッダーは【Gangs of Wasseypur】(2012)での好演ですでにブレークしていて、今作の注目。
ストーリーは冴えない若者4人がある思い付きで金儲けを企むが、やがて事件に巻き込まれていくというもの。この手の話、特にコメディだと、だいたい面白くしようとして設定や登場人物を突飛にしすぎて、話が崩壊、あとはくだらないギャグばかり連発、みたいなパターンに陥りがちですが、【Fukrey】、さすがにセンスがいい人たちが作ると違います。
確かに設定は突飛(宝くじ、夢占い)で、奇抜な登場人物(予知夢を見るチャーチューや女ボスのボーリー)も出てきますが、ストーリーは最後まで着実に進行します。それは、4人のうち2人の金に困っている理由が妙に現実的だったり、ハニーのガールフレンド(未満)のプリヤ(プリヤ・アーナンド)やザファルの別れた恋人ニートゥ(ヴィシャカー・シン)が地に足が付いた女性だったりして、バランスが取れているからでしょう。人物描写にも凝っていて、登場人物は多いのですが、「おまけキャラ」みたいな人が出てこないところも立派です。
音楽
音楽監督はラーム・サンパト。【Delhi Belly】(2011)、【Talaash】(2012)の音楽を担当しています。今回【Fukrey】(2013)は質の点でもバラエティの点でも非常に優れています。
「Fuk Fuk Fukrey」
この曲カッコいいです。
「Rabba」
4人の冴えない学生生活
「Ambarsariya」
こちらは雰囲気ある曲。
プルキト・サムラート ハニー役
テレビ出身の俳優で、映画には【Bittoo Boss】(2012)でデビュー。結婚式でビデオを回していた青年が「隠し撮り」で一旗揚げようと目論む話でした。演技が下手なわけではないのですが、どうも目立った特徴がない。デビュー作と今作では、風貌の違いもありますが、同じ人だとは言われないと気づかないでしょう。また、4人組のリーダー格ながら、一番個性が薄い。なにか良いきっかけがないと飛躍は難しいか。
リチャ・チャッダー 女ボス、ボーリー役
最近話題の女優の1人。デビュー作のディバーカル・バナルジー監督【Oye Lucky! Lucky Oye!】(2008)でも、本来のヒロインよりも目立っていてやや話題になったのですが、本格的なブレークは【Gangs of Wasseypur】(2012)でマノージュ・バージパーイーの妻役をやってから。従来の「ヒロイン」の型にはまらないこれからのボリウッド女優として注目されています。
マンジョート・シン ラリ役
こちらもデビューはリチャ・チャッダーと同じ【Oye Lucky! Lucky Oye!】。主人公アバイ・デーオールの少年時代をやって、やはり新人賞を獲っています。その後はターバンが邪魔するのかあまり良い役にはめぐまれていませんが、今回見るとやはり個性的で面白いです。今回くらいの脇役で活躍していってほしいところ。
アリー・ファザル ザファル役
「音楽と私のどちらを取るの?」と恋人に問い詰められ、「音楽」と答えてまで音楽の道に進むため、音楽学校への入学が決まった矢先に父が倒れ、という役。実はアリー・ファザル、【3 Idiots】(2009)で、ヘリコプターの開発にうつつを抜かして落第、放校になり・・・(以下ネタバレ)になるロボ役をやっています(クレジットなし)。今回も影がある役だし、そういうのが似合うのかもしれません。誰か日本の芸能人で見たような顔なんですが、思い出せません。
プリヤー・アーナンド プリヤー役
ほんとにどこにでもいそうな女の子役ですがカワイイです。【English Vinglish】(2012)で、ニューヨークでシャシ(シュリーデーヴィー)を助ける姪の役をやった人です。次はもう少し大きな役をやってほしいところ。
そもそも突飛なコメディ映画がダメという人や有名な俳優がいないとダメ、という人以外は楽しめると思います。
【Fukrey】
ギリギリ崩壊しないセンスの良いコメディを見たい人、リチャ・チャッダーの「女ボス」ぶりを見たい人、タレント発掘をしたい人、お勧めです。