【Rangrezz】 |
監督:プリヤダルシャン Priyadarshan 出演:ジャッキー・バグワーニー、プリヤー・アーナンド、ラジュパル・ヤーダヴ
トレイラー
ストーリー
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リシ(ジャッキー・バグワーニー)は友情に篤い若者。起業を目指すヴィノード(アミトーシュ・ナーグパル)、海外に行って稼ぎたいパキヤー(ヴィジャイ・ヴァルマー)とは親友同士。リシは警察官の試験に受かろうと努力している。リシの叔父が警察官で、その娘メーガー(プリヤー・アーナンド)との結婚を許してもらうためだ。
ある日、リシの子供時代の友人で政治家の息子ジョーイ(ラーガヴ・チャナナー)が突然訪ねてくる。だが、どこか思いつめた様子のジョーイは自殺を図る。幸い未遂に終わり、リシが事情を尋ねると、ジョーイは恋人の女性は政治家である母のライバル政治家の娘でとても結婚を許してもらえるはずもなく、しかも彼女はもうすぐ結婚する予定だという。
リシは友人のためにひと肌脱ごうと決意する。ヴィノード、パキヤーと一緒に、彼女を結婚式から連れ出し、ジョーイと駆け落ちさせようというのだった。
計画は順調に進み、なんとか二人を逃がすことに成功する。だが、その代償はあまりにも大きく、その後3人には過酷な運命が待っていた。
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有名プロデューサーの息子ジャッキー君を売り出そうとするプロジェクト(?)の第4弾!デビュー作【Kal Kissne Dekha】(2009)(まったくダメ)、【F.A.L.T.U.】(2011)(まずまず)、【Ajab Gazabb Love】(2012)(いまいち)とこれまでコメディ風の3作でちっとも売れないジャッキー君に、今度はシリアスなドラマを用意してきました。
監督はベテランのプリヤダルシャン。この人は南インドの作品をヒンディー・リメイクするのが多いのですが、今回もタミル映画【Naadodigal】(2009)のリメイクです。
ジャッキー君の新境地としてシリアスにしたのはいいですが、ストーリーはシリアスを超えて暗い!基本的なテーマは「何があってもやはり最後は友情」なのですが、そのために払う犠牲があまりにも大きすぎます。友情のために、友人2人は一生残る傷を負い、主人公は非常に大切なものを失います。
基本的な設定は悪くないと思いますが、この重いテーマを生かすには作品の作りが安易でした。序盤では人間関係の描き方が不十分で、リシと恋人のメーガーの関係も最初は恋人同士であることがわからないくらい。中盤は結婚式からの女性の救出(略奪)で、この部分は盛り上がりますが、ここで話が終わってしまった感じでした。本当はここから本番のはずで、肉体的にも傷つき、壊れかけた友情がいかに再生していくかが描かれるかと思いきや、平凡なエピソードと意味不明なエピソードが並んでいただけでした。オリジナルは未見ですが、いかにも未消化のままリメイクした感じが明らかです。
また、この作品、「愛とははかないもの」という、ちょっと意表を突いたテーマもあるような気がします。これは「愛こそすべて」が主流のインド映画としては異色のテーマ。これに説得力を持たせるには相当にしっかりとした物語の描き方が必要になりますが、到底できているとは思えませんでした。
シネマトグラフィーは【Asoka】(2001)(兼監督)、【Tahaan】(2008)、【Raavan】(2010)などで、インド随一の腕前といわれるサントーシュ・シヴァン。しっとりとした感じを与えるムンバイの風景はさすがに美しいです。
この作品、むしろ話題になったのは、ジャッキー・バグワーニーがPSYのガンナム・スタイル(江南スタイル)をやったこと。ただ、作品の印象とはあまりにかけ離れており、たんなる宣伝のためと言われても仕方ありません。
音楽
音楽はサージド=ワージド。歌手はラーハト・ファテー・アリー・カーン、スクヴィンデール・シン、シャンカル・マハーデーヴァン、サリム・マーチャントと一流どころを集めています。金かけているなという感じ。
「Dil Ko Aaya Sukoon」
なかなか美しいです。でも、誰かがコメントで「台所のアルミホイル」と言っていたのには笑いました。
「Nand Ka Lala Re」
ジャッキー・バグワーニー 友情に篤いリシ役
過去3作に比べたら悪くはないですが、やはりこれからもずっと主役をやり続けていくには辛いのではないかと思います。最後の長ゼリフのあたりでそれを感じました。これまでずっと父がプロデュースした作品ばかりですが、今後、脇役でもいいから他の人の作品に出てみる必要があるのではないかと思います。
プリヤー・アーナンド リシの恋人メーガー役
(写真はこの作品のものではありません)
【English Vinglish】(2012)で主人公シャシ(シュリーデーヴィー)のめいのラーダーをやった人といえばわかるでしょうか。タミル映画、テルグ映画ではすでに10本ほど出演している女優さんです。今回期待していたのですが、あまりにも出番が少なすぎ、作品で果たす役割も小さすぎでした。とてもヒロインとは思えないくらい。そしてせっかくの出番、かわいいのですが、やや演技が大げさでした。しかし、表情など、すごく良いものを持っていると思うので、これから頑張ってほしいです。
つまらないコメディもつらいですが、出来の良くないシリアスもかなり辛いです。今回もジャッキー君の売り出しにはつながらないと思います。いったいいつまでやるんでしょうか。
【Rangrezz】
サントーシュ・シヴァンのカメラ・ワークを見たい人、何はともあれ、インド・ガンナム・スタイルだという人、お勧めです。