2010年 06月 26日
【Krantiveer - The Revolution】 |
監督:メフル・クマール 出演:ジャハーン・ブロック(新人) Jahan Bloch、サミール・アフターブ、ファリーダ・ジャラル、ゴーヴィンド・ナームデオ、ムケーシュ・ティワーリーほか。
監督のメフル・クマールは1970年代の後半から映画を作り続けており、特に90年代にインドの社会問題を扱いながらも、アクションなどの娯楽的要素も多く取り入れた【Tirangaa】(1993)、【Krantiveer】(1994)、【Kohram】(1999)などをヒットさせました。【Krantiveer – The Revolution】は【Krantiveer】の16年後の続編です。主役の新人ジャハーン・ブロックは監督の娘だそうです。
トレイラー
ストーリー
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プラタープ・ナーラーヤン・ティラクの「革命」から時は流れ、現代のムンバイ。プラタープやメグナはこの世を去り、プラタープの娘ロシニ(ジャハーン・ブロック)はすでに成人していた。父親に似て正義感が強いロシニはテレビのニュースチャンネルに就職を決めている。
ロシニが祖母(ファリーダ・ジャラル)と暮らす地域に再開発のための立ち退き問題が持ち上がった。有利な条件をちらつかせ土地の買取を持ちかける業者だったが、実は巨大な利権が絡んでおり、州首相(ゴーヴィンド・ナームデオ)まで関係した不正行為だった。不正の匂いを嗅ぎつけたロシニは同じ地区に済むヴィシャル(サミール・アフターブ)や友人たちとともに、不正を暴き、社会を変えようとする彼らの「革命」を開始した。
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メフル・クマール監督の【Krantiveer】(1994)は酔っ払いの失業者プラタープ・ナーラーヤン・ティラク(ナーナー・パーテカル)がジャーナリストのメグナ(ディンプル・カパディア)の説得で旧制度や社会の不正に立ち向かう「革命」を起こすというものです。同作の16年後の続編である【Krantiveer – The Revolution】はプラタープたちの娘の世代という設定です。ナーナーやディンプルは出演せず、部屋に遺影が飾ってあるだけです。また、【Krantiveer】からのシーンが作品中で流されます。
時代遅れの作品という印象でした。構成や映像など、一昔前の映画を観ている感じがありました。
もちろん古い作りでも、しっかりとしたストーリーや強いメッセージ性によって優れた作品を生み出している監督はいます。元の作品である【Krantiveer】もインドの社会問題を扱った優れた作品だったのでしょう。ところが、その次の世代を主人公に設定した続編である【Krantiveer – The Revolution】は社会問題をしっかり描くという点でも弱い気がします。土地の立ち退きに関連した業者や政治家の不正が中心的な問題ですが、具体的な話が何も出てこず、ただ悪そうなオッサンたちが談合しているだけです。宗教間の対立も扱われていますが、回想による一エピソードになっているにすぎません。
若い世代を主人公にしたのは新しさを出そうととする試みなのかもしれませんが、まったく生き生きと描けていません。団結を示すポーズで手を重ねたり、上の世代から見た「若者」像に終始しています。
社会問題の解決が結局のところメディアによる不正の暴露というところも気にかかりました。しかも、ほとんどが隠し撮りによるものです。この作品に限ったことではないのですが、最近のボリウッド作品にはテレビのニュースチャンネルが非常に多く出てきます。テレビのニュースチャンネルやレポーターが、映画で社会問題を描くときの語り口として安易に使われ過ぎている気がします。メディアのあり方に疑問を向けているのは【Rann】(2010)などほんのわずかしかありません。
主人公の若者たちは意図的に新人を使ったそうですが、新鮮さよりも演技の弱さのほうが目についてしまいます。いっぽう、脇役の大人たちはファリーダ・ジャラル、ゴーヴィンド・ナームデオ、ムケーシュ・ティワーリーなどいいメンバーですが、特に悪役のキャラクター設定が浅いので、もったいない使い方となりました。
ジャハーン・ブロック (プラタープの娘、新たな革命を目指すロシニ役)
監督のメフル・クマールの娘だそうです。演技に特に光るものがあるわけでもありませんでした。ひたすら強気でいくだけで、悩んだりするところがない平板な役ということもありますが、まったく魅力が感じられませんでした。息子、娘のデビューに親が手を貸すのはボリウッドでは当たり前のようにありますが、今回はあまり上手くいかなかったようです。
サミール・アフターブ (ロシニとともに革命を目指すヴィシャル役)
主役の若者中で彼だけが多少の出演歴があります。そのため、少しはマシといったところ。
ファリーダ・ジャラル (ロシニの祖母役)
旧【Krantiveer】にも出演しており、旧作と今作とをつなぐ役割を果たします。といっても、いつもの優しい祖母の役です。
【Krantiveer – The Revolution】
旧作を観たことがあって続編を一応確認したいという人、お勧めです。
by madanaibolly
| 2010-06-26 00:32
| レビュー