2010年 06月 19日
《Raavanan》 |

マニ・ラトナム監督の新作【Raavan】のタミル語バージョンです。とはいってもどちらがオリジナルというわけではなく、二作同時制作です。しかも、単なる吹き替えではなく、キャストが異なります。近くの映画館で一日一回だけ上映されています。デリーに住むタミル出身の人たちが観に来ていました。
監督:マニ・ラトナム、出演:ヴィクラム、アイシュワリヤ・ラーイ・バッチャン、プリトヴィラージ、カルティック、プラブー、プリヤマニ、ジョン・ヴィジェイ
トレイラー
ストーリー
(ネタバレはありません)
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広大なジャングルを有する街ラール・マーティ。デーヴ・プラタープ(プリトヴィラージ)は妻のラーギニー(アイシュワリヤ・ラーイ・バッチャン)とともに街の新たな警察署長として赴任してきた。しかし、ラール・マーティの街はヴィーラ(ヴィクラム)の事実上の統治下にあった。下層民からも広く支持を受けるヴィーラと街の治安維持を責務と考えるデーヴとの対立は避けられなかった。そして、ある事件をきっかけに対立は決定的に。
ある日、デーヴは妻ラーギニーがヴィーラに誘拐されたことを知る。妻を取り戻すため、副官であるヘマント(ジョン・ヴィジェイ)、森林保護官ギャナプラカサム(カルティック)とともに、全力を挙げてヴィーラを追うデーヴ。だが深いジャングルを拠点とするヴィーラの捜索は困難を極める!
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ストーリーは【Raavan】とまったく同じです。細かく比べたわけではありませんが、セリフもほぼ同じでしょう。配役ですが、主役級で【Raavan】と《Raavanan》の両方に出演しているのはヴィクラム、アイシュワリヤ、プリヤマニの3人。うち、アイシュワリヤとプリヤマニは同じ役ですが、ヴィクラムは悪漢と警察官の正反対の役を演じています。セリフがなく、アイシュワリヤまたはプリヤマニが単独で映るシーンについては使いまわしがありますが、それ以外のシーンではちゃんと別テークが撮られています。
キャストが異なることで、作品にどのような差が生まれたかというと・・・。
●ヴィーラ(【Raavan】ではビーラ)
《Raavanan》ではヴィクラム、【Raavan】ではアビシェーク・バッチャン
複雑なキャラクターで、かなりサイコなヴィーラ(ビーラ)ですが、サイコの度合いはアビシェークのほうが上。ヴィクラムのヴィーラにはまだ理性が残っています。というわけで、ストーリーへの収まりという点ではヴィクラムのヴィーラでしょう。また、私の「ラーマーヤナ」のラーヴァンのイメージからいってもヴィクラムのほうが近いかと思います。しかし、作品の独特の世界観にあっているという意味ではアビシェークのビーラも捨てがたいです。
●デーヴ 《Raavan》ではプリトヴィラージ、【Raavan】ではヴィクラム
プリトヴィラージも予想以上に好演でしたが、やはりヴィクラムの貫禄が勝っています。プリトヴィラージ自身がどうこうよりも、妻ラーギニーや敵ヴィーラとの関係においてまだ少し若いかなという感じです。プリトヴィラージだとアイシュワリヤのラーギニーが「この夫にしてこの妻あり」という感じになりません。また、《Raavanan》(【Raavan】)の世界ではヴィーラとデーヴの二人が並び立ち、最終的には善と悪の境もあいまいになる世界観が背景にありますが、さすがにヴィクラムのヴィーラ相手では貫禄の点でかないません。
●ヘマント
「ラーマーヤナ」ではひたすら兄ラーマや義姉のシーターに忠実な弟ラスシュマナがモデルですが、《Raavanan》【Raavan】ではヘマントの悪事がヴィーラとデーヴの対立、ラーギニーの誘拐の直接の原因になります。そんな悪い部分を持った役に、【Raavan】のニキル・ドヴィヴェディはちょっと好青年すぎました。《Raavanan》のヘマント役ジョン・ヴィジェイは私の知らない俳優です。
全体としては、おそらくヴィーラの違いによって、作品のまとまりを考えるなら《Raavanan》、作品の独特の雰囲気を買うならば【Raavan】でしょうか。
ヴィクラム (街を支配する悪漢ヴィーラ役)

《Raavanan》【Raavan】プロジェクトで一番重要な役を担ったのがヴィクラムであることは誰にも異論はないでしょう。まったく反対の二役で、しかも同じ女優さんが相手。しかも、ロケ地やスケジュールの関係で一日に何度もヴィーラとデーヴの役を行ったり来たりというのが毎日のように続いたそうです。しかし、どちらの役も見事に演じているのはさすがは南のスター俳優の貫禄でしょうか。
プリトヴィラージ (妻を誘拐されヴィーラを追う警察署長デーヴ役)

マラーヤラム映画の出身で、現在ではタミル、テルグなど広く活躍する南インド映画の若手俳優(といってもすでの相当数の作品に出演していますが)プリトヴィラージ。【Raavan】のヴィクラムとはまた違った感じですが、予想以上に好演でした。アイシュワリヤとの関係にやや違和感が出るものの、無理して年齢を上過ぎに設定しなかったのが良かったのかもしれません。
アイシュワリヤ・ラーイ・バッチャン (ヴィーラに誘拐されるラーギニー役)

【Raavan】と同じ役ですが、言語はタミル語。アイシュワリヤのタミル語作品といえば、《Jeans》(1998)が有名ですが、実はアイシュワリヤの女優デビューはタミル映画の《Iruvar》(1997)、監督はマニ・ラトナム。両者のつながりはずいぶん古いのです。当たり前ですが、アイシュワリヤ、言語の違いを超えて大変な美しさを示しています。
数少ないタミル映画の上映をわざわざ観に来ている人たちのことなので、そこは差し引かなければなりませんが、観客の反応は《Raavanan》のほうがいい気がしました。【Raavan】は観客の出足も批評もいま一つのようだし、やはり南のテーストが強く出ているということなのでしょうか。
《Raavanan》
【Raavan】と比較してみたい人、異なるキャストの同作品鑑賞という体験をしてみたい人、悪漢ヴィーラ役のヴィクラムを見たいという人、作品の雰囲気からぜひタミル語で観たいという人、お勧めです。



通りがかりですが、
ヴィクラムって顔渋くなったんですね。5年くらい前の「兄やん」しか観とらんのですが。髭のせいか豪快オヤジ顔ですね。
ヴィクラムって顔渋くなったんですね。5年くらい前の「兄やん」しか観とらんのですが。髭のせいか豪快オヤジ顔ですね。
それほどたくさん観ているわけではないですが、【Bheema】(2008)、【Kanthaswamy】(2009)、そして【Raavanan】と、渋いですよね。ヒゲも立派だし。渋いということで私の周りでは女性ファンが急増しております。

