2010年 03月 12日
【Right Yaaa Wrong】 |
インドではクリケットのプロリーグ、インディアン・プレミア・リーグ(IPL)が開幕。ボリウッドの大作はIPLとかち合うのを避け、公開を延ばしています。これからしばらくは、大作を避ける中小作品や公開日が決まらずに流れてきた作品が公開されます。【Right Yaaa Wrong】は比較的大きな作品ですが、公開が延びに延びてようやく公開となりました。
監督:ニーラジ・パタック Neeraj Pathak. 出演:サニー・デオル、イルファン・カーン、イーシャ・コピカル、コンコナ・セーン・シャルマ、ディーパル・ショウほか。
トレイラー
ストーリー
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アジャイ(サニー・デオル)とヴィナイ(イルファン・カーン)はゴア警察の刑事。熱血漢のアジャイとクールなヴィナイは名コンビとなっている。アジャイは美人の妻(イーシャ・コピカル)と息子の3人家族。一見幸福な家庭だが、妻は夫の不在に隠れてアジャイの弟と浮気をしていた。
アジャイが犯人との銃撃戦で負傷し下半身不随になってから、二人の運命は大きく変化する。絶望したアジャイは自らに保険金をかけ、妻と弟に自分を殺害するよう説得する。2人に罪がかからず、強盗によって殺害されたようにみせかけるため周到な準備をしていよいよ実行の時を迎える。
だが、翌朝遺体となって発見されたのは妻と弟。アジャイは2人に襲われ、仕方なく反撃したと正当防衛を主張する。ヴィナイはそこに計画殺人のにおいを嗅ぎ付け、捜査を開始する。いっぽう、ヴィナイの妹で弁護士のヴィディヤ(コンコナ・セーン・シャルマ)はアジャイの弁護をすることに。かくて2人の友人同士そして兄妹が法廷で対決することに。
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犯罪(法廷)スリラーとしては上出来の部類に入ると思います。サスペンス性もドラマ性も十分に備えています。前半は特に見ごたえがありました。冒頭から連続するアクションで流れを作り、浮気する妻や計画の準備などサスペンス性をはらみつつ、一気に進んでいきます。後半は法廷での駆け引きを中心に展開します。いわゆる謎賭け-種明かしタイプのサスペンスではなく、犯人はわかっていて、それをどのように証明するのか(または証明できるのか)が問題になります。
途中、子供がらみで情が入りすぎるところがあり、ややストーリーの流れが妨げられる感がありました。父としての立場はアジャイの人物像の重要な部分ではあるものの、とんでもないところで子供との会話が入るのは興ざめです。
しかし、やはりみどころは強いキャラクター設定とそれを演じる俳優の演技です。サニー・デオル演じるアジャイは強い意志と明晰な頭脳、犯罪に関する広い経験を持つという法廷で敵に回すには最悪の人物でしょう。イルファン・カーン演じるヴィナイは、真実の追究のためには友人を疑うことも辞さない冷徹な人物です。イーシャ・コピカル演じるアジャイの妻は、表向きは完璧な妻を演じながら、実は夫の弟と関係を持つという相当の悪女です。いっぽう、コンコナの役は法廷場面はいいですが、人物像が説明不足のところがあり、法廷場面以外ではあまり冴えませんでした。
舞台であるゴアの美しい風景も織り混ぜられています。音楽はそれほど印象的なものはありませんでした。途中出てくる映画館でかかっていた映画は【Vivah】(2006)。制作がだいぶ遅れたと聞いていますが、まさかその頃から撮っていたのでしょうか?
サニー・デオル (妻殺しを疑われるアジャイ役)
最近では一番の役ではないかと思います。やはり年齢がいったせいか、かつてのように感情を表に出すよりも、今回のように抑え気味のほうが魅力的です。今回は追い詰める側にとっては無類の強敵でありながら、(ヴィナイを除く)誰もが彼が犯人であるはずがないと思わせるような人物という難しい役でした。今回は途中から車イスですが、【Heroes】(2008)のように暴れたりはしません(笑)。
イルファン・カーン (友人を疑うヴィナイ役)
しっかりした役が与えられればまず間違いがない俳優です。隙がないという意味では今作の出演者中で最高でしょう。冷徹な表面の下にある熱いものも感じさせる演技でした。もっとも、国際的俳優になりつつある今はなかなか難しいかもしれませんが、【Life in a ... Metro】(2007)のようなゆるい役もやってもらいたいです。
イーシャ・コピカル 夫の弟と浮気をするアジャイの妻役
私の中の「ボリウッド、美人だけど今ひとつ・・・」ランキングでは確実に上位にランクされるイーシャ・コピカル。【Company】(2002)や【Don】(2006)のダンスシーンが有名ですが、女優としてはどうも伸び悩んでいる感じです。整いすぎた顔で逆に印象が薄いのかもしれません。しかし、今回はスゴイです。もともとゴージャスな美人ですが、今回はひときわ美人でセクシーその上悪女ときています。うーん、もっと早くこの役をやっていれば・・・。
コンコナ・セーン・シャルマ ヴィナイの妹でアジャイの弁護士ヴィディヤ役
いつもは素晴らしいコンコナですが、どうも今回はいまいちでした。後半からの登場で、キャラクターがよく説明されていないのが原因でしょうか。法廷部分は良かったですが、無理してコンコナでなくてもという感じもありました。
ディーパル・ショウ アジャイらの同僚の女性刑事役
(写真はこの作品のものではありません)
【A Wednesday!】(2008) のテレビ・レポーター役ディーパル・ショウ。今回は刑事。オフィスワークよりも屋外という肉体(労働)派の女優さんです。
中盤以降ときおりあるストーリーの緩みを除けば、かなり良い作品だと思います。
【Right Yaaa Wrong】
しっかりしたストーリーのサスペンスが見たいという人、サニー・デオルとイルファンの対決の結果が知りたい人、実はイーシャ・コピカルを応援しているという人、お勧めです。
by madanaibolly
| 2010-03-12 23:47
| レビュー