
制作:カラン・ジョーハル 監督:カラン・マルホートラ Karan Malhotra 出演:リティック・ローシャン、サンジャイ・ダット、プリヤンカー・チョープラー、リシ・カプール、オーム・プリー、サチン・ケデカル、カトリーナ・カイフ(アイテム出演)
トレイラーストーリー***********************************************************
1970年代のインド。ボンベイ沖に浮かぶ塩田と畑だけの小島マンドワ。島に住むヴィジャイは教師の父から人生の「炎の道 (Agneepath)」を聞かされながら育てられた。ヴィジャイの人生は、この島を支配しようとする男カンチャ(サンジャイ・ダット)によって一変する。カンチャは支配に抵抗するヴィジャイの父にレイプ犯の濡れ衣を着せ、リンチで絞首刑にする。妊娠中の母(ザリーナ・ワハブ)とともにボンベイの街に逃げたヴィジャイ。娼家に身を寄せ、母はヴィジャイの妹を出産。だが、ヴィジャイは悪徳警官を殺し、ボンベイの街を牛耳る麻薬マフィアのラウフ・ラーラ(リシ・カプール)に匿われることになる。
それから15年。ヴィジャイ(リティック・ローシャン)は、相変わらずラーラのもとで働きつつも、カンチャへの復讐を思い続けていた。そんなヴィジャイに思いを寄せるのは娼家育ちながら、今や自分の美容院を開くまでになったカーリー(プリヤンカー・チョープラー)。だが、母とは離れたまま。妹は自分の存在すら知らない。
いよいよヴィジャイは復讐に向けて動き出す。カンチャはマンドワを要塞化し、麻薬貿易で大儲けをしている。ヴィジャイはラーラからボンベイを奪う試みを進めながら、カンチャが支配するマンドワに乗り込む!
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インド映画のフルコース。しかも大盛り。インド映画が好きな人でも覚悟して観てください。インド映画が苦手な人で【Agneepath】を観るハメになった人は(いないと思いますが)、インド料理が苦手な人がインド料理屋に入ったと思って、自分の不運を呪ってください。そのくらい、いまどき珍しい本格派です。
今回プロデューサーのカラン・ジョーハルの父ヤッシュ・ジョーハル制作、アミターブ・バッチャン主演【Agneepath】(1990) のリメイク。父の作品のリメイクですから、カラン・ジョーハルも気合が違います。【Agneepath】というタイトル。ヒンディー語のAgni「火」と英語のpath「道」を合わせた造語。作ったのはアミターブ・バッチャンの父で詩人のハリヴァンシュ・ラーイ・バッチャンです。そして、主人公の名前は旧作と同じヴィジャイ。ヴィジャイは、出世作の【Zanzeer】(1973)、【Don】(1978)、【Dostana】(1980)など多くの作品でアミターブが使った役名です。
最近のボリウッドには、主人公の子供時代から描き始める作品は少なくなっています。ところが一昔前には一般的で、特にアミターブ・バッチャン主演作などにはかなり多くあります。子供時代に親を殺されたり、兄弟と生き別れになるところから始まり、主人公が子供時代の出来事に始まる運命に決着を付けるまでを描きます。【Agneepath】はバッチャン主演作のリメイクという形を取ることで、主人公の半生を描くこの叙述形式を完全に再現しています。
ベースとなる復讐譚に、父子の絆、母子の葛藤、妹との再会などの家族愛やヒロインとの恋愛を織り交ぜ、血みどろの撃ち合い、切り合い、殴り合い、さらに祭りシーンにダンスシーンと盛りだくさん。かつてのボリウッド作品は、こうした盛りだくさんさゆえに(今の基準からすると)自爆した作品も多いのですが、【Agneepath】は緻密なスクリーンプレイでまとめています(それでも3時間の大作です)。
なんといっても物語の中心になるのはヴィジャイによる復讐。そして、復讐に欠かせないのは復讐されるべき悪役。今回、サンジャイ・ダットによるカンチャは大成功でした。異様な風体だけでなく、底知れぬ強さがあります。【Agneepath】の悪役カンチャは、ロールプレイングゲームのラスボスのようなもの。最初の頃の主人公ではまったく敵わず、その後主人公が次第に経験値を得て成長し、ラストバトルで対決。主人公はボロボロ(HP8とか)になりながらも・・・。実に良くできています。
全体としては、バッチャン作品の設定やストーリーに最近流行のサウス・テーストのアクション・シーンで味付けした感じ。しかし、安易なリメイクや流行の取り入れだけでは絶対不可能なスケールの大きさがあります。やはり、カラン・ジョーハルの思い入れのゆえでしょうか。
音楽音楽だけで聴くとどうだかわかりませんが、シーンとしてとにかくインパクトがある曲ばかり。
アイテム・ソング「Chikni Chameli」
向かうところ敵なしのカトリーナ。これも大ヒット。コレオは思い切り南テーストですが、曲はマラーティー映画【Jatra】(2006)の「Kombadi Palali」という曲のコピーだそうです。
「Gun Gun Guna」
俳優陣は、重厚かつ濃厚なストーリーに見合うだけの「格」の演技を見せています。
リティック・ローシャン 父の復讐に燃えるヴィジャイ役

現在のボリウッドを代表するスーパースターですが、これまではスマートな役が多かったリティック。今回はガラリと変わって泥臭い役。血みどろはもちろん、敵を打ち殺し、切り倒しという鬼になります。しかし、単なる戦闘ロボットになってしまわないところが【Agneepath】のいいところであり、リティックたる所以でしょう。ときどき見せる人間味のある顔が素晴らしいです。
サンジャイ・ダット ヴィジャイの父の仇、カンチャ役

こちらの「顔」も・・・・。外見だけでこれだけインパクトがある役、最近の作品ではちょっと思いつきません。最近これという作品がなかったサンジャイはこれで間違いなく復活でしょう。不調で落ち目かなと思うとムンナーバーイーだったり、今回のカンチャだったり、ここぞというところで回りをアッと言わせる役をつかみます。
プリヤンカー・チョープラー ヴィジャイに想いを寄せるカーリー役

男臭い作品のうえ、ヴィジャイの周りには母や妹もいるため、どうしても登場時間が短くなってしまうカーリー役。プリヤンカーをたくさん見たい人には物足りないかもしれません。しかし、ときにヴィジャイの精神的な支えとなる役で、短い時間でも印象は強いです。それから、話題ではカトリーナの「Chikni Chameli」ほどではありませんでしたが、「Gun Gun Guna」、踊り負けてはいません。【Don 2】(2011)に続いて【Agneepath】。トップ女優の格を見せています。
リシ・カプール ボンベイの麻薬王ラーラ役

サンジャイ以外で今回驚いたのはこの人。最近は【Do Dooni Chaar】(2010)などのような人のいいお父さん役が多かったのですが、今回は悪役。完全な悪役の目に注目。
体力と気力を充実させて観てください。きっと楽しめるはずです。
【Agneepath】
入道頭のサンジャイが気になる人、一味違うリティックを見たい人、復讐話の好きな人、お勧めです。